日本史学の探求

人間好きですか?

日本列島、いやその前にユーラシア大陸の一部であった時代から、いったいどのくらいの人びとが、この大地のうえに生活を営んだのでしょうか。その数は、10億をゆうに越える数ではないでしょうか。

この大地と周辺の海に囲まれた人びとの時の流れに比べれば、わたしたちの生きる時間は、ほんの瞬きのつかの間のことですね。だからこそ、人間は今という時を共に生きている人びととの出会いを大切にしたいし、人間が好きなのです。

しかし、わたしたちが出会い、共に生きる人びとは、この大地や海に生きた無限の人びとのなかのごくごく一部の人びとなのです。現代の人びとはもちろん、さらには時の流れを越えて無限の人びとに出会いたい…、そのような人間好きな人びとが選ぶ学問の一つが、歴史学ではないでしょうか。

日本史学は、そのような歴史学のうちでも、日本列島とその周辺の海に生きた人びとを対象とする分野なのです。

でも、日本史って覚えることが多くって!

日本史を学ぶことは、覚えること…というのは早合点というものです。

日本史学は、過去の人びとの営みを考える学問です。泣いたり、笑ったり、喜んだり、怒ったり、憎んだり、争ったりetc.…さまざまな人間の営み、そのような営みにいたる原因や条件を考え、それを表現することも歴史学の大きな使命です。

いままで明らかになった歴史は、日本列島の各地に生きた人びとの歴史のごくごく一部なのです。まだまだ時間の闇のなかに埋もれたまま、掘り起こされるのを待っている人びとの歴史があるのです。だから一緒に、掘り起こしてみませんか。

歴史を掘り起こす鍬はあるの?

歴史を掘り起こす鍬は、もちろん目に見えるものではありません。また簡単に文字に表現できるものでもありません。でも、4年間努力して学ぶなかで、身についてくるものです。

掘り起こす土壌は、はっきりしています。それは、過去の人びとの息吹がうかがわれる史資料です。史資料を大切にし、史資料からしっかり、たくさんの情報を読み取ることからはじまるのです。

日本史学研究室では貴重な史資料を所蔵しており、猪熊文書や蒲池文書など2000点に及ぶ中世文書、1万点に及ぶ近世の村方文書などがあります。これらは全国の研究者が利用することもしばしばありますが、古文書を読む会で見ることもできます。また各地の史料展などに出展されることも多いので、どこかの特別展ですでにこれらの史資料と出会った人もいるかもしれませんね。

【カリキュラム】史料を丹念に読む堅実な本学の日本史学分野の学風は、全国の日本史研究者に定評のあるところです。古代・中世・近世・近代各時代それぞれの講義と史料演習はもちろん、行きとどいた研究指導によって、この学風を伝えていきます。また、古文書を読むことや史料調査の指導のほか、在学生の楽しみのひとつである研修旅行(日本史実習)などを通して歴史の現場を訪ね、過去の人びとの営みにせまる努力をしています。

【卒業論文】こうした学習の総まとめとして、4年生になると卒業論文の作成にあたることになります。自分自身が最も興味を抱く時代・テーマを選んで取りくんでいくことになりますが、3年生の段階から卒業論文の準備と指導がはじまります。教員や先輩・大学院生と共に毎週古代史・中世史・近世近代史各読書会に参加して、きめこまかな指導をうけることになります。

古文書を見る会

▲古文書を見る会(2008年)

研修旅行

▲研修旅行(佐賀県・名護屋城跡 2009年)


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