西洋史学の探求

西洋の歴史への誘い

西洋史は覚えることが多いから苦手でしょうか。たしかに、歴史的事項を詰め込む受験用世界史は苦痛だったかも。しかし、大学で学ぶ西洋史は、それとは大いに違います。過去を知るだけではなく、現在の西洋の文化、欧米人の生活様式や思考について考える西洋史の世界へどうぞ。

カリキュラムと卒業論文

  • 古代地中海世界への誘い

海は生命の揺かごと言われますが、海はまた文明の揺かごでもありました。古代の地中海は、諸民族を隔てる妨げではなく、諸民族を結びつける道の役割を果たしていたのです。

何千年も前の人々が書き残した文献、石の板に刻まれた碑文、口伝えされてきた伝承・神話、発掘された遺跡・遺物、これらを材料として、ギリシア・ローマ文明の成り立ちを、エジプト・レヴァント・オリエントなど、様々な文明との関わりの中で考えて行きます。そうすることによって、これらの古代文明が、意外と私たちの生活と密接に関係していることが分かると思いますよ。写真1は、オリンピアのヘラ神殿です。

  • 中世ヨーロッパ世界への誘い

写真2は、カラタユー(スペイン)の聖アンドレス教会の鐘楼です。ムスリムからこの都市を征服したキリスト教徒はかつてのモスクの上に、彼らのまなざしにイスラーム的と映る建築様式(ムデハル様式)を用いて新たにカトリック教会を建設したのです。

文化、アイデンティティ、さらには「共生」とは歴史上、いかなるものであったのでしょうか。現代社会の諸問題に関連させながら、みなさんに問いかけます。

  • 近代ヨーロッパ世界への誘い

歴史学では、歴史的な出来事に対して、常に‘when’‘what’‘where’‘why’‘how’の問いかけを繰り返しながら、学んでいくことが重要です。

たとえば、1789年にフランス革命が起こったことは誰でも知っています。でも、なぜ1789年に起こったのでしょうか? それは偶然の出来事ですか? 同じ時期になぜイギリスで革命が起こらなかったのかも、考えてみれば難しい問題です。

またイギリス人は、なぜ紅茶好きなのでしょうか。クスッと笑った人もいるかもしれませんね。でも、このお話は近代イギリス史の重要なテーマであり、世界システム論の講義で語られることになります。近代ヨーロッパの政治、文化、社会について、講義や洋書購読を通じて多角的に考え、議論し合っていきましょう。

卒業論文の指導は2年生から始まります。西洋史の学生全員が参加する総合演習と、時代ごとの個別ゼミがあります。ゼミでは学生が、自分の研究テーマで発表を行い、先生や学生の質問や助言を受けます。2年生では、自分のテーマを探してください。多くの本や新聞を読み、現代的な問題関心をもつようにすると良いでしょう。3年生では、テーマに関する論文や研究書を読んで発表します。4年生は、就職活動と論文作成で大忙し。外国語の資料を追加し、卒業論文を完成しましょう。

留学・研修

これまでイギリス、フランス、ドイツ、ポーランド、イタリア、イスラエル、アイルランド、オーストリア、メキシコ、アメリカなど世界各地に、先輩が留学しています。先輩にならって留学したり、資料や情報を集める研修旅行に出かけてみませんか。目指せ国際人!

ヘラ神殿

▲写真1 オリンピアのヘラ神殿

聖アンドレス教会

▲写真2 カラタユー(スペイン)の聖アンドレス教会


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