考古学の探求

考古学ってなに?

考古学は遺跡や遺物といった「モノ」を研究することによって、歴史を復元する学問分野です。

歴史を学ぶには、古文書などの文献史料から研究する方法と、土器・石器といった物質資料から研究する方法の2つがあります。「モノ」を研究する考古学では遺跡の発掘調査を行なって歴史資料を収集し、これをもとに私たちの祖先が生きた環境や生活を知り、人類の歩んできた道を明らかにしていきます。

考古学で何が学べる?

1年生では専門的な講義はありませんが、入門科目で旧石器時代から縄文時代、弥生時代、古墳時代、歴史時代に至る日本考古学の通時的な概要が学べます。

2年生からは考古学基礎論(考古学の研究方法論や、土器・石器・金属器などの考古資料を実際に手に取って学ぶ)、考古学概説、日本考古学研究およびアジア考古学研究(考古学専門分野の講義、アジア地域の考古学を中心に学ぶ)、他に考古学特別研究(人類学や年代測定学など考古学に関する学際的分野を学ぶ)、遺跡・遺物論演習(遺跡の発掘調査を記録した報告書を読み、自分の関心ある考古学テーマについて、学生が研究発表する)、比較考古学演習(世界各地の考古学について、学生が研究発表する)などが学べます。

また実地体験のフィールドワークとして、考古学基礎実習と考古学野外実習があります。

フィールドワークってどんなことするの?

考古学基礎実習は土器などの遺物の修復、実測、拓本、写真撮影や遺跡の地形測量の方法を学び、最後の締めくくりの10日間程度、実際に遺跡に出向き、詳細な地形測量図を作成します。

考古学野外実習は発掘調査が中心です。広島県庄原市東城町にある広島大学の発掘調査室で、毎年夏に20日間程度合宿して帝釈峡遺跡群(石器時代の洞窟、岩陰遺跡)の発掘調査を行います。ここで考古学の基本を学び、発掘の面白さ、難しさを体験します。

また、古墳など他の時代の発掘もありますし、他大学の調査にも参加できます。机に向かうだけでなく、合宿調査というフィールドワークも加わる考古学分野の学問はきっと、貴重な学生時代を味わい深いものにしてくれることでしょう。

卒業論文はどう書くの?

4年間考古学を勉強した成果として、卒業論文を作成します。しかし、他の多くの分野と違って考古学の論文は机に向かうだけでは書けません。「モノ」が相手ですから、博物館などいろんなところに行って実地に自分で調べなければなりません。

考古学のことを英語で Archaeology アーケオロジーといいます。つまり歩けオロジーなのです。自分で歩いて歩いて調べる必要があります。そうして一味違った論文ができ上がるわけです。さあ、頑張ってみましょう。

広島大学の考古学の特色って何?

中国地方における砂鉄を用いた製鉄法の解明など、「鉄」に重きを置いた、地域に根ざしたテーマ研究を行っており、「鉄を研究するなら広島大」という、全国的に高い評価を得ています。

また、40年以上にわたる帝釈峡遺跡群の発掘調査は、縄文時代を中心とした石器時代に関する、国内でもっとも息の長い調査研究活動として有名です。イランなど西アジアの海外調査も実績があります。

発掘風景

▲帝釈峡遺跡群の洞窟遺跡の発掘風景

6世紀の製鉄炉

▲6世紀の製鉄炉を復元して鉄鉱石から鉄をつくる実験(東広島キャンパス)


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