言語学―ことばの探求

言語学の対象は世界中の言語

人間は社会的動物です。人間が形成した社会に言語が存在します。社会との絡み合いの中で、言語を研究対象とする言語学は、様々な分野と関係しています。心理学、哲学、教育学、社会学、人類学、歴史学、考古学、生物学、地理学、医学など、数え上げたら切りがありません。

言語学は世界中の(かつて存在し、また現に存在している)すべての言語を研究対象にしています。従って、英語学・ドイツ語学・フランス語学・中国語学・日本語学などは、言語学が扱う一部となります。このような人類すべての言語は多くの共通点を持っています。言語学は、それらの言語間の共通点を明確にし、一般化する学問です。

人類みな平等、言語もみな平等

言語学に求められるのは、あらゆる言語文化の価値を等しく評価し、個々の言語文化の生存権を認めることです。
言語文化は生き物です。一度死んだら、復活はほぼ絶望的なのです。さまざまな理由から消滅の危機に晒されている(あるいはすでに消滅した)言語については、科学的に有効な記録資料を残すことも、言語学の大切な使命です。

どんな人に向いているのか

言葉に関心がある人。必ずしも語学能力に秀でている必要はありません。言語学は語学学習とは違い,世界のあらゆる言語を材料として言語の普遍的な仕組みを探求する学問です。英語などの外国語を話すのが得意でない人でも,言葉の仕組みや文法の問題を考察することに面白さを感じることができる人は言語学に向いています。

言語学と語学との関係

言語学の学生は、まず、研究の手掛りとする言語を選択し、必要に応じて学習しなければなりません。従って、語学は言語研究の基礎となるものです。古典語(ラテン語、サンスクリット語など)、死滅した言語(ヒッタイト語、シュメール語など)、地域方言(広島弁、世界各地の英語など)、社会方言(職業語、若者語など)を除いて、現在6,000以上あるとも言われている世界の諸言語の中から、自分にぴったりの言語を見つけるのです。

ふだん耳にすることのできないような話者が数十人の言語でさえも、十分研究対象となるのです。もちろん、日本語、英語、中国語などを選択することもできます。

授業の主眼は方法論にあり

言語学は、全ての言語に関わりますが、あらゆる言語を授業で教えてもらえるわけではありません。授業は、言語学の研究史、基本概念、方法論の理解に主眼が置かれます。

言語学の基礎を身に付けた後、自分に合った方法で研究していくことになります。既存の文字・音声資料を用いても良いし、実地調査に基づいて言語資料を集めることもあり得ます。

4年間の計は卒業論文にあり

4年間は思いのほか短いものです。1年次から卒業論文作成は始まっています。一つでも多くの言語に触れることが望ましいでしょう。

通常、3年の後期から卒業論文の制作に入ります。ですから、少なくとも3年の前期には自分の研究テーマを教員と相談して決めておく必要があります。4年次に3度の発表を経て、最終的に書き上げます。

▲言語学ゼミ合宿を終えて

▲卒業式のあと研究室で


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