帝釈峡遺跡群発掘調査室

帝釈峡遺跡群発掘調査室

広島大学大学院文学研究科帝釈峡遺跡群発掘調査室

   帝釈峡遺跡群は、広島県東北部の庄原市から神石郡に広がる帝釈石灰岩地帯に位置しており、石灰岩の洞窟、岩陰を利用した数多くの石器時代遺跡が発見されています。遺跡群の発掘調査は、1962年の帝釈馬渡岩陰の第1次調査以来、毎年継続して実施しており、2011年で50年を迎えました。そして、1977年からは帝釈峡の地に帝釈峡遺跡群発掘調査室が開設され、現地調査の拠点となっていますが、国立大学でもこのような考古学の発掘調査実習施設が設置されているのは東京大学と本学のみです。

 

帝釈峡遺跡群発掘調査室の施設

   帝釈峡遺跡群発掘調査室は景勝地帝釈峡の一角にあり、1977年4月の開設以来35年の歴史をもっています。
帝釈峡遺跡群の調査・研究は、当初は帝釈峡遺跡群発掘調査団を編成して行っていましたが、1977年の調査室開設以降は、ここを拠点に数多くの洞窟・岩陰遺跡の発掘調査や、遺跡の分布調査を行っています。

帝釈峡遺跡群の洞窟・岩陰遺跡

   帝釈峡遺跡群の洞窟、岩陰遺跡では、縄文時代を中心に旧石器時代から古代以降にまでおよぶ、各時代・各時期の遺物包含層(文化層)が整然と連続して堆積しており、石器時代の変遷を復元する際の基準となってきました。
   さらに、石灰岩地帯に立地していることから、通常、石器時代のような古い遺跡では残りにくい人骨、動物骨、貝類の遺存に恵まれ、考古学のみならず、人類学、古生物学、地質学などの分野からも注目を集め、特色ある学際的な研究が進められています。

調査中の遺跡

神石高原町帝釈大風呂洞窟遺跡

帝釈大風呂洞窟遺跡は、帝釈観音堂洞窟遺跡の直上約50mほどに位置しており、1996年から発掘調査を継続して行っています。
地表下約2mまでに6層におよぶ遺物包含層を確認しており、これまでに縄文時代草創期~早期以降、弥生時代や古代・中世におよぶ遺構、遺物が出土しています。最下層からは、約3万年前のニホンモグラジネズミやニホンムカシハタネズミなどの絶滅動物化石が発見されています。

庄原市佐田峠(だお)墳墓群

 2006年度までは帝釈峡遺跡群の調査として、庄原市東城町(旧比婆郡東城町)で東山岩陰遺跡の発掘調査を23年間継続して行なってきました。
2007年度からは、庄原市教育委員会から市内重要遺跡整備の一環としての学術調査の依頼があり、東山岩陰遺跡の調査を一時中断して、弥生時代の佐田峠墳墓群の調査を実施しています。
現在、佐田谷・佐田峠墳墓群の国指定史跡化に向けて広島大学大学院文学研究科と庄原市教育委員会との共同研究「佐田谷・佐田峠墳墓群の発掘調査」で調査・研究を推進しています。
中国山地に特徴的な四隅突出型墳丘墓の解明につながる調査として期待されています。

 

所在地・連絡先

○調査期間
 
〒729-5244 広島県庄原市東城町帝釈未渡字野田原    
広島大学大学院文学研究科帝釈峡遺跡群発掘調査室    
電話(08477)6-0101    
     
○調査期間以外
 
〒739-8522 広島県東広島市鏡山1-2-3    
広島大学大学院文学研究科考古学研究室    
電話(082)424-6663    

利用について


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