株式会社トクヤマ エンジニアリングセンター 設備管理グループ 守田 純一 さん

知識を重ねて、知恵で跳べ!


株式会社トクヤマ
エンジニアリングセンター 設備管理グループ

守田 純一 さん

広島大学工学部 第一類 (機械系) 平成11年度卒業
広島大学大学院工学研究科 博士課程前期
移動現象工学 (機械) 専攻 平成13年度修了
山口県立下松高等学校 出身

現在の仕事について

 私は山口県周南市に拠点を置く総合化学メーカー「株式会社トクヤマ」で、半導体素材を製造するプラントの保守・保全業務に携わっています。専門は機械工学で、いわゆる「機械屋」です。
 入社当初は設計・建設部門に所属し、新規プラントの設計や建設に従事していました。現在はその経験を活かし、既存プラントの「健康維持」および「更なる改善」のため、保守計画の立案やその施工管理を担っています。また、最近では組織管理が中心となり、技術継承や人材育成にも力を入れています。後進の育成を通じて、ものづくりの面白さを共有できることに大きなやりがいを感じています。

機械メーカー(IHI殿)との技術打合せの様子

学生時代について

 学生時代は、研究と好きなことに全力で打ち込んだ非常に充実した時間でした。所属していた流体工学研究室では、温度変化の影響を避けるため夜間に実験を行い、日中はデータ整理に取り組む日々を送っていました。工学部東側の研究棟には常に誰かがいて、冗談交じりに「不夜城」と呼ばれるほど、皆が熱中したものです。私自身もその環境にどっぷり浸かり、研究に没頭していた記憶が今も鮮明です。大学入試の成績は下位で「奇跡の合格」と言われましたが、憧れの機械工学を学べる喜びから、専攻科目を片っ端から履修し、やっと知識欲に目覚めた時期でもあります。課外活動ではアーチェリー部に所属し、競技そっちのけで運営に力を入れ、大学連盟中四国支部の財務・会計を担当。責任ある立場を通じて組織運営と予算管理の難しさを学びました。また、車やゲーム、恋愛にも夢中で、入学時になぜか同級生になった彼女は今もちゃんと妻です (恋愛に触れても安心)。やりたいことだけに向き合えた時間は、今も自分の大きな財産です。

広島大学・工学部在校生へのエール・メッセージ

 私が今も大切にしているものに、流体工学研究室の恩師からいただいた『知識より知恵』という教えがあります。
 現代は私の学生時代と比べ、求められる知識の量や変化のスピードが格段に増しています。皆さんも日々、勉強や研究に追われる忙しい毎日を送られていることでしょう。まずは「歯を食いしばって知識を詰め込む」時期を、ぜひ前向きに乗り越えてください。効率を求めすぎず、あらゆる角度から広く深く学び、時には「これは必要なのか?」と思えるような知識にも手を伸ばしてみてください。それらは、必ずどこかで自分の糧になります。
 社会に出ると、多くの場面に「明確な正解」は存在しません。ライフ・ワーク・バランスやタイパが叫ばれる一方で、日本の技術やものづくりには、まだまだ創意工夫が求められています。与えられたマニュアルを正しくこなす力も大切ですが、それだけでは壁を突破することはできません。むしろ大切なのは、「できないこと」、「正解が見えないこと」に対して向き合い、自分なりに攻略法を見つけていく力、すなわち『知恵』です。研究の深掘り、試験勉強の戦略、さらには投稿小説の閲覧数を伸ばす方法や恋愛の進め方に至るまで、すべてに「考え応用する力」が問われています。「成るように成る」ではなく、「どうにかする!」という姿勢を、学生時代にしっかり育ててください。
 現在、文科省の教育振興基本計画においても「アイデアを生み出す力」を重視しています。今の皆さんには、私たちの時代にはなかった考えるための道筋がたくさん用意されています。チャンスとしてつかめるかどうかは、「自分自身が意識できるかどうか」にかかっています。広島大学工学部という恵まれた環境で、専門知識を得、人とのつながりを築いている今こそ、自分の可能性を大きく広げるチャンスです。ぜひその力を存分に活かして、「先人を超える活躍」と「自らを革新する力の獲得」を成し遂げてください。
後輩諸君、頑張れ!!

静寂を照らすトクヤマの灯(発電プラント) ※出所:2025CMの一コマより


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