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第355回 物性セミナー(5研究科共同セミナー:7月6日)



題 目 斜方晶YbFe2Al10型CeT2Al10 (T=Fe, Ru, Os) 単結晶の半導体的挙動
講 師 西岡 孝 ( 高知大学理学部・教授)
日 時 2009年7月6日(月) 18:00 -
場 所 先端物質科学研究科 304S
要 旨 Ce化合物の磁性は, Doniachの相図でおおまかに理解することができる。この相図の中で価数揺動領域の重い電子領域に近い領域において,特殊な結晶構造(ε-TiNiSi型,Y3Sb4Au3型,スクッテルダイト型)は半導体的挙動を示すことが知られている。本講演で紹介するYbFe2Al10型構造はこれらの特殊な結晶構造の新しい仲間であり,表題の物質はいずれも半導体的挙動を示す。T=Fe, Ruに関する半導体的挙動を最初に発見したのは室らである。

我々は表題の物質に加えて,他の希土類のほとんどの単結晶をAl自己フラックス法で育成し,Ce以外は通常の金属的な振る舞いを示すことを明らかにした。格子体積はいずれもランタノイド収縮からずれており,価数揺動領域にあることを示している。電気抵抗はいずれも室温から降温とともに増加する。この温度依存性は,近藤効果によるものとしても半導体的ギャップによるものとしても解析が可能である。T=RuとOsにはT0~30 K付近に電気抵抗,磁化率に鋭い異常を伴う相転移が観測されている。我々のNQRの実験からは,この転移は磁気転移でないことを示している。電気抵抗の振る舞いはかなり特異で,少数キャリア系Ceプニクタイトの圧力下の振る舞いに似ている。
我々は最近CeRu2Al10の8GPaまでの圧力下の電気抵抗の測定を行った。T0は加圧ともにいったん上昇するが4GPa付近で急激に減少し,その圧力付近で半導体的挙動は消失し金属的な振る舞いに変化する。これはT=Osでも同様に観測される。本講演では,表題物質の単結晶の常圧および圧力下の物性の現時点で得られている結果を紹介し,従来の物質との関係について議論する。
担 当 高畠 敏郎 (先端物質科学研究科)・内線7025

5研究科共同セミナーの認定科目です

*5研究科共同セミナーの単位認定等につきましては、所属研究科の学生支援窓口にてご確認ください。



後援 先進物質機能研究センター


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