(English mode is here.)
広島大学バイオマスプロジェクト研究センターと中国地域バイオマス利用研究会の共催で「広島大学バイオマスイブニングセミナー」を開催しています。バイオマスに関する基本的な考え方から最先端の情報までをカバーして、この地域におけるバイオマスの活動に資することを目的とするものです。第32回を以下の日程で開催しますので、ご参集ください。
- 日時: 2015年6月19日(金) 16:20~17:50
- 会場: 広島大学(東広島キャンパス) 工学部 講義棟 110講義室
【会場へのアクセス】
【プログラム】
- 解説: 広島大学院工学研究院 教授 松村 幸彦
- 司会: 広島大学院工学研究院 特任助教 Thachanan SAMANMULYA
講演 :三重大学大学院生物資源学研究科 准教授 野中 寛
「リグノセルロース系バイオマスの成分分離」 木材や穀物の茎などは、主としてセルロース、ヘミセルロース、リグニンからなる「リグノセルロース」系バイオマスです。これらは相互侵入網目構造を形成しているため、各成分をそのまま分離することは現時点で不可能です。本講演では、これまで行われてきた各種成分分離法の課題等を整理しながら、リグノセルロース系バイオマスを用いたバイオリファイナリープロセスの今後を展望します。 |
講演 : 広島大学大学院先端物質科学研究科 D1 Mattana TUNCHAI
「Ralstonia solanacearumの植物感染に及ぼすリンゴ酸の影響に関する研究」 Ralstonia solanacearumは世界中で、多数の農業的に重要な作物に青枯病を引き起こす植物病原菌です。R. solanacearumは行動的応答である走化性を発揮し宿主植物の根に接近しその傷口から侵入・感染します。その走化性では、宿主植物の根から分泌される化合物をR. solanacearumが感知し、その濃度勾配に沿ってこの菌は宿主に接近するのです。すなわち、走化性は植物感染の最初期段階であるとみなせます。とするならば、この走化性応答に関与している化合物をまず明らかにし、その走化性を特異的に妨害・干渉すれば、R. solanacearumの植物感染を防除できる可能性があります。当研究室の研究により、植物感染に関わる物質のひとつとしてL‐リンゴ酸を特定しています。また発表者の研究により、L‐リンゴ酸の非天然型異性体であるD‐リンゴ酸に対しても、R. solanacearumは強い走化性応答を示すことが分かっています。そこで、前述のアイデアを検証するために、事前にL‐リンゴ酸、D‐リンゴ酸及びDL‐リンゴ酸(工業製品で食品添加物)を土壌添加しトマトに対する植物感染試験を行いました。その結果、いずれのリンゴ酸化合物もR. solanacearumの植物感染を遅延させることが分かりました。R. solanacearum種々の変異株を用いた試験から、L‐リンゴ酸は走化性を妨害することで植物感染遅延を引き起こすが、D‐リンゴ酸はそれだけではなく、twitching motilityという運動形態を阻害することで植物感染遅延をひきおこしているらしいことが分かりました。さらなる研究を進め、リンゴ酸異性体を用いR. solanacearum植物感染防除技術を完成させたいです。 |
※ 18:00より意見交換会(参加費 800円 )を開催します。ご都合の付く方はこちらにもご参加ください。
【お問い合せ先】
中国地域バイオマス利用研究会
広島大学 大学院工学研究科 機械システム工学専攻内
TEL:082-424-5762 / FAX:082-422-7193
メール: bprc[AT]hiroshima-u.ac.jp
([AT]は半角@に置き換えてください。)