平成29年2月6日(月)に第50回広島大学バイオマスイブニングセミナー(第7回広大ACEセミナー)を開催しました。
【当日の講演内容】

解説
広島大学大学院工学研究院
教授 松村 幸彦
「スパイラルリアクタを用いた超臨界酢酸メチルの非触媒バイオディーゼル製造:プロセス評価」
超臨界法を用いたバイオディーゼル製造は、反応速度が速く、反応時間が短く、触媒が不要であることから有望な技術です。しかし、この技術は依然として商業的応用にとって依然として問題となっている熱回収に関する課題に直面しています。そこで、本研究ではスパイラルリアクタを提案しました。我々の以前の研究では、この反応器が従来の超臨界装置と比較して装置スペースが小さく、熱回収の点で優れているという利点があることが報告されています。しかしながら、超臨界酢酸メチルにおけるバイオディーゼル生成のプロセス分析は、エネルギー分析の観点からは十分に検討されていません。そこで、本研究の目的は、スパイラルリアクターを用いた超臨界酢酸メチルのバイオディーゼル製造プロセス評価を行うことです。分析結果は、このプロセスの正味エネルギー比(NER)およびエネルギー効率がそれぞれ0.97および0.99であることを示しました。

講演
広島大学大学院工学研究院
特任助教 Obie FAROBIE
「キシロースと酢酸混合物の超臨界水ガス化」
ヘミセルロースのモデル物質であるキシロースの水熱ガス化は、連続流動反応器を用いて酢酸の存在下で高温高圧下(400℃、25MPaまで)で行いました。酢酸は有機化合物の一つであり、環境に優しく、低腐食性であり、またヘミセルロースガス化の副生成物でもあるので、キシロースの超臨界水ガス化における各反応の挙動をよりよく理解する触媒として選択されました。本研究では、酢酸を添加した場合と添加しない場合のキシロース分解の反応速度定数を比較することを目的としました。滞留時間の影響を決定するため0.5から5秒まで変化させました。キシロースの濃度は1.5重量%の酢酸と混合した1.5重量%でした。キシロースの超臨界水ガス化で酢酸を添加するとラジカルスカベンジャーとして作用してH+となり、ラジカル反応であるレトロアルドール反応と炭素ガス化生成が抑制されました。一方、キシロースとキシルロースのフルフラールへの脱水は著しく促進されました。

講演
広島大学大学院工学研究科
M2 Tanawan Chalermsaktrakul
「木質バイオマスのメタン発酵における湿式ミリング前処理条件の検討」
福島第一原子力発電所の事故で発生した放射性物質により汚染された木質バイオマスを処理・減容化する方法としてメタン発酵に着目しました。現在、本研究室では木質バイオマスを金属ビーズ・酵素液と共に攪拌し、粉砕・糖分解を同時に行う湿式ミリング法を前処理プロセスとしたメタン発酵プロセスの開発を進めています。本研究では、処理時間・添加酵素量を変えて得られた処理物のメタン発酵試験を行い、最適な湿式ミリング前処理条件を検討しました。

講演
広島大学工学部
B4 糸永 誠
お問合せ先
中国地域バイオマス利用研究会(広島大学大学院工学研究科機械システム工学専攻内)
TEL:082-424-5762
FAX:082-422-7193
E-mail:bprc*hiroshima-u.ac.jp(注:*は半角@に置き換えてください)