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本研究成果のポイント
- 2018年西日本豪雨災害や2014年広島市土砂災害における広島県での土石流発生箇所を計測した航空レーザ測量データ(*1)の分析から、土石流による浸食深さの特徴を明らかにしました。
- 衛星画像データ等から検出される崩壊範囲と浸食深さを掛け合わせることで、土石流による崩壊土砂量を簡便に推定する方法を開発しました。
- 将来、広域・大規模な土砂災害が発生した際、本手法を適用することにより短時間で崩壊土砂量やその分布を推定することが可能となり、迅速かつ適切な災害対応に役立つと期待されます。
*1 航空レーザ測量:航空機に登載された装置から地面に向かってレーザ光を照射し、その反射波を計測することで、地面等の詳細な標高を測定する技術。従来の写真測量に比べて高解像度(およそ1m以下の分解能)に地形の凹凸を把握することができる。
概要
広島大学大学院工学研究科の三浦弘之准教授の研究グループは、2018年西日本豪雨災害等で計測された広島県の土石流発生箇所での航空レーザ測量データの分析から、土石流による浸食深さの特徴を明らかにするとともに、衛星画像データ等から検出される崩壊範囲と組み合わせることで、新たな航空レーザ測量を必要とせずに簡便に崩壊土砂量を推定する方法を開発しました。
大規模・広域での災害による早期復旧計画や災害廃棄物の処理方法を考える上で、できるだけ早く被災範囲や被害量を把握する必要があり、特に土砂災害では崩壊土砂量を把握することが重要となります。本研究では、2014年8月に広島市で発生した土砂災害や2018年西日本豪雨災害で経験した広島県での災害データを分析し、土石流による崩壊面積と崩壊土砂量の関係を求めることで、崩壊による平均的な浸食深さが1m弱となることを明らかにしました。さらに、災害前後に撮影された衛星画像データや地形データの解析から検出される崩壊範囲と組み合わせることで、土石流による崩壊土砂量やその分布を簡便に推定する方法を開発しました。この方法で推定された崩壊土砂量は、航空レーザ測量により計測された精密な崩壊土砂量とほぼ一致することが確認されました。提案された方法を利用することにより、時間と労力を要する航空レーザ測量の計測を必要とせずに、簡便かつ短時間に崩壊土砂量を推定することが可能となり、将来発生する広域土砂災害の早期対応時における基礎情報として活用されることが期待されます。
本研究成果をまとめた論文が、MDPI社の学術雑誌「Remote Sensing」に採択され、2019年5月8日にMDPI社のライブラリにオンライン掲載されています。
本手法で推定された崩壊土砂量の分布
(■で示すグリッドの大きさは250m×250m)
論文情報
- 掲載誌:Remote Sensing
- 論文タイトル: Fusion Analysis of Optical Satellite Images and Digital Elevation Model for Quantifying Volume in Debris Flow Disaster
- 著者名: Hiroyuki Miura
- DOI: 10.3390/rs11091096
- 報道発表資料(717.72 KB)
- 論文掲載ページ (MDPIページに移動します)
- 広島大学研究者総覧 (三浦 弘之 准教授)
- 広島大学大学院工学研究科建築学専攻建築防災学研究室ホームページ
- 広島大学防災・減災研究センターホームページ
広島大学大学院工学研究科
准教授 三浦 弘之