AIG高校生外交官プログラムへの参加報告

 2019年8月に行われた第33回AIG高校生外交官プログラムに,附属高等学校2年大段さんが広島県代表として参加しました。

参加報告

 今年度,AIG高校生外交官プログラムという国際交流プログラムで全国から選抜され,アメリカに派遣されました。AIG高校生外交官プログラムとは,日米両国の高校生がワシントンD.C.やニューヨークの米国の国家機関や国際機関を訪問し,ホームステイやプリンストン大学での共同生活を通して,日米相互の文化理解をはかるプログラムです。国際交流を越えた人間交流をすることができ,また協賛金により無償で参加できるため,多くの高校生が世界に羽ばたくチャンスのあるプログラムです。私はこの度,高校生外交官という特別な視点を持って日本の今を伝えるとともに,アメリカの魅力を吸収し様々なことを学んできました。

 プログラムは,次の3つで構成されています。

・ワシントンD.C.,ニューヨークの要所を巡り,政治,経済,歴史,文化について,多角的な視点からアメリカへの理解を深めるツアー

・家族の一員になり,ミクロのアメリカに触れることができるホームステイ

・日米の高校生がルームメイトペアを組み,プリンストン大学で10日間の共同生活を行い,異文化を通して,人を通して,日本の今を発信するとともに,本当のアメリカ,本当の自分を知ることができるエクスチェンジ

ツアー

訪問地で説明を受けている様子

ペンタゴンにて

IMFでの質疑応答

9.11メモリアル訪問後のディスカッション

国際連合にて

AIG本社でのプレゼンテーション(1)

AIG本社でのプレゼンテーション(2)

ハーレムで子どもたちにボランティア

 国防総省,IMF,国際連合など,一般の旅行ではできない政治機関,企業への訪問を行いました。そこでは,日米の外交官の方などといった各界でご活躍の方からお話を伺う機会をいただき,また英語での質疑応答の場もいただきました。
 国防総省では,実際にペンタゴンで働いている兵隊の方からお話を伺いました。アメリカの防衛の本部として,どのように国民を守っているのかを知ることができ,日本の防衛との共通点や相違点を知り,深くアメリカの政治を理解することができました。また,9.11事件の際のお話も伺いました。世界中の自由と民主主義を守る難しさを感じました。
 IMFでは,IMFで働いている方,世界銀行で働いている方からお話を伺い,世界の金融について理解しました。IMF,世界銀行,どちらも多くの国が豊かになるための様々な政策が行われており,社会科などで学習したことを実際に肌で感じることができ,とても貴重な機会でした。お話をしてくださった方の中には日本の方もいて,自分のキャリアを考え直す機会になりました。
 9.11メモリアルへの訪問は私の中で一番印象に残りました。出来事として9.11事件を知ってはいたものの,メモリアルを訪れると,それは想像を絶するものでした。ひと家族ひと家族の幸せが一瞬のうちに崩れ落ちていった恐ろしさに,胸を痛めました。メモリアルを訪れた後,プログラムの米国カウンセラーと英語でディスカッションを行いました。私たちは,国際平和を実現する為には,互いの国,そして個人個人をリスペクトし合うことが必要だという結論を出しました。私は,社会とは一人一人の生きる力の結集によって成り立つものだと思います。そのことを多くの人に伝えたい,と改めて感じた訪問地になりました。
 国際連合では,世界各国のつらい過去を繰り返さないためにさまざまな取り組みが行われていることを実感しました。国際平和を達成するために私たちができること,それを深く考える場となりました。
 AIG本社を訪問し,キャリアを考える機会をいただきました。またプリンストン大学で行う,日本の政治のプレゼンテーションを見ていただき,アドバイスをいただきました。プレゼンテーションでは,一つの問題を掲げた方が相手に考えさせる良いものとなると教えていただき,今後の活動にも活かしていきたいと思いました。
 また,ハーレムを訪問し,子供たちに日本の文化や遊びを伝えるボランティアを行いました。子どもたちはとてもかわいく日本の文化を心から楽しんでくれ,すごく嬉しかったです。

ホームステイ

ホームステイ

ホストファミリーとのお別れ

 ホストファミリーの方がとても温かく親切に迎えてくださり,毎日が本当に楽しかったです。私が意識したのは,どんなに拙い英語でもいいから,自分の思ったことをきちんと伝える努力を怠らないことです。家族とお互いの国の文化や習慣を話し,たくさんのことを知りました。日本にもすごく興味を持ってくださり,違う国に生まれ育ったという,違うバックグラウンドを抱えながらも,お互いの国のことを深く知ることができました。時間を共に過ごす中で,言語の壁を越えて本当の家族のように話したり,過ごしたりし,とても楽しく,幸せでした。

エクスチェンジ

ディスカッションの様子

広島県代表としての平和スピーチ

日本文化を伝えるイベントにて
和食のプレゼンテーション

日本文化を伝えるイベントにて
日米両参加者全員の集合写真

 エクスチェンジでは,ルームメイトをはじめ日本側,米国側,それぞれ40人の高校生とたくさんのアクティビティーを行い,10日間を共に過ごしました。たくさんのディスカッションも行いました。ステレオタイプの恐ろしさ,国際平和を達成する為に,各国が抱える社会問題,教育システムについて,世界の働き方,各国の政治体制,政治参加などどれも深く考えさせられるものばかりでした。たくさんの考え方があることも知りました。どれも簡単には解決することはできないけれど,一人一人の意識からかわるのだと,どのテーマのディスカッションでも感じました。また,互いの国の今を深く知り,理解しあう機会になりました。また,ネイティブの先生の授業を受けました。アメリカの文化やコミュニケーションの取り方などを学びました。授業で学んだことを実生活に取り入れて,より深く理解することができました。
 私は,日本の政治のプレゼンテーション,そして日本の文化を伝える目的として和食のプレゼンテーションや実際に米国側参加者に和食を食べてもらうブース体験を行いました。政治のプレゼンテーションでは,日本の天皇制,安全保障について話しました。アメリカにはない天皇制はとてもたくさん質問がでて,日本の政治を伝えるというだけでなく,自国について深く考える場にもなりました。和食の発表では,どの参加者もとても楽しんでくれ,自分の国の魅力を伝えられた達成感を感じました。
 また,広島県代表としても選ばれたため,現地において,平和スピーチの機会をいただきました。出発前に広島市長にお時間をいただき,広島の「あの日を伝える」という使命を,お話いただきました。そのいただいたお言葉を胸に,被爆地として辛い過去を抱えながらも,現在美しい自然に囲まれる素晴らしい都市にまでどのように復興を遂げたのか,平和であることの大切さを伝えてきました。スピーチの間,アメリカ側参加者の目には,涙が溜まっており,私たちの思いが伝わったことを感じました。国が違っても,世界が平和であってほしいという思いは同じなのだと感じました。
 エクスチェンジでは,国際交流を超えた,人間交流をすることができました。言語の壁があったとしても,バックグラウンドが違っていたとしても,相手と真正面から向き合えば,その壁は簡単に超えられるのだと思いました。

 今回のプログラムを通じて,ダイバーシティ溢れるアメリカで,相手をリスペクトする大切さ,自分の信じた道でしっかりと能力を輝かせる大切さを学びました。今回の経験をいかして,国際的な視野を持ち,様々なことに取り組んでいきたいです。


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