【2018/11/6開催報告】第63回コンソーシアム人材セミナー「グローバル化した製薬企業における理系研究者のキャリアパス(武田薬品工業株式会社)」を開催しました。

 平成30年11月6日(火) 、第63回コンソーシアム人材セミナー「グローバル化した製薬企業における理系研究者のキャリアパス / 武田薬品工業株式会社 篠澤 忠紘 氏 による講演」を開催しました(参加者45名)。

概要

武田薬品工業(株)の篠澤忠紘さんに「グローバル化した製薬企業における理系研究者のキャリアパス」と題して講演していただきました。

武田薬品は製薬業の中でも新薬を開発している企業であり、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献しています。篠澤さんは武田薬品の薬剤安全性研究所に所属されており、よく効く薬の探索や薬の動態調査、動物実験までのプロセスなどを担当されています。
新薬の開発はとても難しく、また、実際に人々が使用する前に動物実験や幾度の臨床実験をクリアしなければなりません。したがって何万もの候補化合物を作ったとしても、商品として販売できるものはわずかであり、1つの新薬を作り出すのは雲をつかむように困難なことです。さらに、創薬研究では膨大な資金や人材も必要とされます。篠澤さんのお話から、創薬研究の大変さを窺い知ることができました。

篠澤さんは元々農学部でクローンの分野を研究されていましたが、今では全く違う分野である創薬の研究に取り組まれています。
今までの経験から、仕事をする上で大切なのは環境適応力であると考えられています。また、入社したときには研究者として大学に戻って研究したいと思われていましたが、アメリカのシンシナティ子供病院へ留学して患者を助けることに実際に関わるという経験をされ、創薬で誰かを助けられるというモチベーションが得られたことにより、ご自身の仕事の意義を強く感じられたそうです。

世界の製薬業界において、2010年前後に多くの医薬品の特許が切れ、製薬企業の収益が大幅に減少しました。新薬の創出が困難な時代へと遷移し、グローバル化に舵を切った製薬企業がみられるようになりました。武田薬品でもグローバル化へと踏み切り、外国人が増えています。その変化に対応するために、大事なのは価値のある理念や考えを持つことです。自分が何者か、どんな専門性を持っているか、何を信じて研究をしているのか明確化できるようになってください、と学生に伝えられました。

参加した学生から、講演やディスカッションの内容に対する感想、印象に残ったことなど(一部)

  • 自分の分野に近くて、とてもためになった。【総合科学研究科 女性】
  • 非常に興味深い内容ばかりでとても刺激を受けました。【理学研究科 男性】
  • 製薬会社の研究開発の仕事をここまで深く知れることが無かったので、大変有意義だった。【先端物質科学研究科 男性】
  • 武田のことだけでなく、研究者として語ってくれたことがよかった。【総合科学研究科 男性】
  • 講演者のキャリアパス。【生物圏科学研究科 男性】
  • 企業内の仕組み。研究体制に関すること。【理学研究科 男性】


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