センター長メッセージ

宇宙科学センター長 吉田 道利 教授

センター長挨拶

 日頃より、宇宙科学センターおよび「かなた」望遠鏡の研究教育活動に暖かいご支援をいただきまして、誠にありがとうございます。平成22年度より宇宙科学センター長を仰せつかりました吉田道利と申します。よろしくお願いします。

 近年の宇宙観測手段の目覚ましい進歩によって、人類の認識する宇宙の姿は大きく変わってきました。恒星や銀河など、宇宙を構成する天体は、一般に、空間的にも時間的にも非常に大きなスケールを持ちます。それゆえに人類にはその変化・進化を追いかけることは不可能であり、観測される宇宙は基本的に静的なものと考えられがちです。しかしながら、最新の宇宙観測が明らかにした宇宙の姿は、非常に激しく活動する動的なものです。そこにはしばしば、ブラックホール、中性子星、白色矮星などの高密度天体が関わっており、そうした天体の形成・進化を追いかけることが、宇宙の動的な側面を明らかにするための重要なカギとなっています。

 宇宙科学センターは平成16年度に発足して以来、まる5年を経過し、その間、1.5m望遠鏡「かなた」を中心として宇宙の動的現象の解明に成果を挙げてきました。平成21年度の例で申しますと、観測史上最大規模に明るい超新星の発見(平成21年9月記者発表)、超巨大ブラックホール周辺構造の解明(平成22年2月記者発表)などが記憶に新しいところです。これらの成果は「かなた」のみでなされたものではなく、他の天文台などと協力した、多波長の連携観測によって得られたものです。特に、平成20年度にNASAが打ち上げたガンマ線天文衛星「フェルミ」(注)と「かなた」の連携観測によって、これまで知られていなかった活動的な宇宙の姿が次々と明らかになっています。「フェルミ」やX線天文衛星「すざく」と「かなた」の連携研究においては、広島大学・高エネルギー宇宙グループとの密接な協力体制の下に研究を進めています。

 私たちの活動や科学的成果を広く市民の皆様に知っていたき、天文・宇宙を通じた社会貢献を行うことも重要です。そこで、「かなた」を用いた年4回の特別観望会や不定期開催の見学会などを実施しています。小中高校生の施設見学会や観望会なども随時受け付け、できるだけ多くの皆様に宇宙に親しんでいただけるように努力しています。私たちは、こうした活動を通じて、国民の科学リテラシーの向上や、いわゆる理科離れの防止などに多少なりとも貢献できればさいわいと考えています。

 宇宙科学センターおよび「かなた」望遠鏡は、わくわくするような新しい発見を次々と私たちにもたらしています。今後とも、皆様のご支援・ご協力を切にお願い申し上げます。

(注) 「フェルミ」は、前センター長の大杉節教授を中心とした広島大学のグループが開発に大きく寄与しており、その運用にも宇宙科学センターが重要な貢献をしています。

平成22年4月1日
広島大学 宇宙科学センター長 吉田 道利


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