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【研究成果】宇宙で最も明るい爆発現象の謎が明らかに ―超高輝度超新星「SN2006gy」の正体はIa型超新星だった―

本研究成果のポイント

  • 非常に明るい超高輝度超新星SN2006gyの多くの観測データを矛盾なく説明できる理論モデルを初めて提案しました。
  • 従来提案されてきた大質量星の爆発ではなく、白色矮星の爆発であるIa型超新星が引き起こした爆発であると結論づけました。
  • 超新星に至る恒星進化過程における、連星の激しい衝突・合体を理解する鍵になると考えられます。

概要

京都大学大学院理学研究科 前田啓一 准教授、広島大学宇宙科学センター 川端弘治 教授、ドイツ・マックスプランク天体物理学研究所およびスウェーデン・ストックホルム大学所属のAnders Jerkstrand 博士の研究グループは、通常の超新星の10倍以上明るく輝いた特異な超新星SN2006gyの正体を解明しました。

2000年代以降新たに発見された非常に明るい「超高輝度」超新星はそのエネルギー源が謎であり、どのような星が爆発したのかが特定されていませんでした。本研究グループは、その代表例とされるSN2006gyの観測データを良く説明できる新たな理論モデルを構築し、その正体が従来考えられていたような大質量星の特異な爆発ではなく、白色矮星の核暴走爆発であるIa型超新星であることを明らかにしました。このような超高輝度「Ia型」超新星は、白色矮星と通常の星からなる連星が合体した際に生じると考えられ、激しい恒星合体過程の詳細を知るうえで重要な示唆を与えます。また、超高輝度超新星を用いた遠方宇宙の探査の基礎の構築につながると期待されます。

本研究成果は、米国の国際学術誌「Science」に掲載されました。

SN 2006gyの想像図

SN 2006gyの想像図

研究プロジェクトについて

  • 18H05223 基盤研究S「爆発直後からの観測によるIa型超新星の起源解明」(代表:土居守、東大 / 分担:前田啓一、京大)
  • 18H04585 新学術領域研究・公募研究「多次元・多波長輻射輸送手法の開発で切り開く爆発天体現象研究のフロンティア」(代表:前田)
  • 17H02864 基盤研究B「超新星から迫る大質量星の終末進化:最期の100年から最終末期1年へ」(代表:前田)
  • 17684004 若手研究(A)「常設1露出型可視偏光撮像器による高エネルギー天体現象の研究」(代表:川端弘治、広島大)
  • 18H03720 基盤研究(A)「全天可視偏光サーベイで解き明かす銀河系構造と宇宙突発現象のメカニズム」(代表:川端弘治、広島大)

論文情報

  • 掲載誌: Science (24 January 2020)
  • 論文タイトル: A Type Ia supernova at the heart of superluminous transient SN 2006gy (超高輝度超新星SN2006gyはIa型超新星により引き起こされた)
  • 著者名: Anders Jerkstrand1,2, Keiichi Maeda3,4, Koji Kawabata5
    著者所属:
    1 Max-Planck-Institute for Astrophysics, Germany. 
    2 The Oskar Klein Centre, Department of Astronomy, Stockholm University, Sweden.
    3 Department of Astronomy, Kyoto University, Japan.
    4 Kavli Institute for the Physics and Mathematics of the Universe, The University of Tokyo, Japan.
    5 Hiroshima Astrophysical Science Center, Hiroshima University, Japan.
  • DOI番号: 10.1126/science.aaw1469
【お問い合わせ先】

広島大学宇宙科学センター センター長・教授
川端 弘治
TEL:082-424-7371
E-mail:kawabtkj*hiroshima-u.ac.jp (注:*は半角@に置き換えてください)

京都大学大学院理学研究科宇宙物理学教室 准教授
前田啓一
TEL:075-753-3894
E-mail:keiichi.maeda*kusastro.kyoto-u.ac.jp (注:*は半角@に置き換えてください)


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