質問集

質問1.  医学における人体解剖について説明してください。
(回答)
 人体解剖は以下の3つに分けられます。
 (1) 病理解剖(病死の原因を調べる)
 (2) 法医解剖(変死者の死因を調べる)
 (3) 正常解剖【系統解剖】(人体の構造を明らかにするという、医学教育に欠くことが出来ない)

質問2.  白菊会はこの3つの解剖のどれに関係がありますか?
(回答)
 (3) 正常解剖です。

質問3.  正常解剖についてもう少し詳しく説明してください。
(回答)
 正常解剖の大部分は、医学・歯学を学ぶ学生の教育のために行われます。この学生の中には医師、歯科医師を目指すものばかりでなく、看護師、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、歯科技工士、薬剤師を初めとする、いわゆるコメディカルスタッフと呼ばれる、医師、歯科医師とともに医療を支えている職種を目指す学生も含まれます。
 人体の構造を学ぶには、学生自身の手で解剖し、その目で観察することが必要です。文字や絵、模型などではとうてい現せないものを把握することが人体構造の理解に繋がります。この解剖は、もちろん、解剖学担当の教授または准教授の責任と指導のもとに解剖学実習室にて行われます。
 また、ご遺族の承諾を得て、お体の全部又は一部を標本として保存することもあります。これは、医学に関する学生の教育への活用のためです。

質問4.  正常解剖は学生の教育のためだけに行われるのですか?
(回答)
 正常解剖を行うのは学生ばかりではありません。解剖学は完成された不変のものではありません。人体の構造がどのようにして作られているのか、その理を明らかにするために解剖学者は解剖します。そこでの発見が解剖学教育に生かされるわけです。
 また、臨床医によっても正常解剖が行われます。例えば、内視鏡のような医療用の機器を用いて、医療の現場で生じた疑問を解き明かそうとします。こうやって医療が一歩一歩と進歩していきます。もし、その研究成果を学術雑誌等で公表するときには、解剖された会員の個人を名指すことのないよう、注意が払われます。なお、臨床医の行う正常解剖も、解剖学担当教授または准教授の責任と指導のもとに行われます。このように、正常解剖は、医学の発展のために行われます。

質問5.  正常解剖用の遺体が広島大学では何体ぐらい要るのですか?
(回答)
 文部科学省の基準では、医学を学ぶ学生2人につき1体、歯学を学ぶ学生4人につき1体と決められています。そうしますと、医学部生120名、歯学部生60名ですから、年間75体要るわけです。これに加えて、最近では、コ・メディカル学生の実習あるいは医学部・歯学部の上級学年の学生がさらに進んだ実習を行ったり、医学研究に10体前後使用しています。

質問6.  それだけ確保できるのですか?
(回答)
 皆様のご理解・ご協力により、現在は必要数を十分確保できる状況になっております。

質問7.  身元不明人や引取人のない死体もあるのではありませんか?
(回答)
 旧来は、それに頼っていたわけです。しかし、本人の意志に基づかないで正常解剖に付するのは人道的にも問題があるとして反省されるようになりました。ですから、今日では、篤志会の献体に依存する以外には実習用遺体の確保はできないわけです。
 広島大学の場合、白菊会会員の方々の篤志以外のものはありません。

質問8.  広島大学白菊会のような団体は他にもありますか?
(回答)
 このような団体は、「白菊会」・「不老会」・「余光会」その他の名称で全国的に存在しており、これらの団体は「篤志解剖全国連合会」を結成し、広島大学白菊会もこれに加盟しています。

質問9.  会員が遠方で死亡した場合、献体はできますか?
(回答)
 各都道府県には、医学部(歯学部)を置く大学が一校以上あります。もし、広島大学白菊会の会員が遠方(広島県外)で亡くなられた場合、広島からお迎えに参りますと相当時間がかかり、ご遺体の損傷も進みますので、近くの大学にお願いすることがあります。その場合、場所等をご連絡いただければ、広島大学から近くの大学に連絡をとり、その大学に献体していただくこともできます。
 また、外国で亡くなられた場合は、白菊会が外国までご遺体をお迎えにあがることはできませんので、ご献体はご辞退させていただきますことをご理解願います。

質問10.  会員が病院で亡くなり、担当医から遺族に病理解剖の申し出があった場合、どうしたらよいでしょうか?
(回答)
 人体の構造を明らかにする正常解剖は、医学教育に欠かすことはできないものです。しかし、一方では病気の原因を調べ、今後の医療に役立たせる病理解剖もなくてはならないものです。この場合は、白菊会の会員であることを告げ、担当医と相談されるのが適切でしょう。なお、正常解剖と病理解剖の両立は出来ません。

質問11.  遺体の引き渡しは、すぐに行わなくてはならないのでしょうか?
(回答)
 原則、通夜・告別式など、通常の葬儀を行っていただき、出棺の時刻に合わせて、こちらからお迎えに参らせていただきますので、お亡くなりになられたからといって、すぐに大学に引き渡しをしていただく必要はございません。
 通常、葬儀のあと、ご遺体は出棺して火葬場に向かうことになりますが、献体される場合は、火葬場でなく、大学に運ばれる点が違うだけです。

質問12.  交通事故等による死亡の場合で損傷のある遺体はいかがなものでしょうか?
(回答)
 交通事故及びその他の事故による死亡の場合でも、できる限り献体のご意志に添うようにいたしますが、屍体検案等の手続きがあり、法医解剖が優先することもあります。また、お身体に損傷等がありますと、薬液注入が不可能な場合も生じ、解剖に不適と判断せざるを得ない場合もあります。その場合には、献体をお断りすることもあります。

質問13.  遺体の献体と併せて角膜混濁症患者のための眼球提供が出来ますか?
(回答)
 眼球の提供も大切で、これによって失明から救われる人が待機していることを考えなければなりません。しかし、全ての会員が眼球を提供されるとなると、人体の構造をくまなく究める必要のある正常解剖の実習にそぐわないことになり、私共の立場からすれば好ましいことではありません。しかしながら、提供したいというご希望の方もおられると思いますので、その場合には一眼だけ提供していただきますようお願いします。なお、アイバンク(角膜提供)については、財団法人 ひろしまドナーバンク(電話(082)256-3523))へ直接お問い合わせください。

質問14.  臓器提供と献体の両立はできますか?
(回答)
 献体をしていただくご遺体には、動脈を通して体内に保存液を注入しなければなりませんが、臓器提供は臓器を取り出すために動脈を切断したりします。そうすると、保存液が注入できなくなり、長期にわたる保存が難しくなります。解剖学実習は3~4か月にわたって行いますので保存のための処置が不可欠です。また、例えば、心臓を提供されると学生が心臓について実習できなくなります。そのため、献体と臓器提供の両方を行うことはできません。なお、臓器提供をご希望の方は、財団法人 ひろしまドナーバンク(電話(082)256-3523))へ直接お問い合わせください。

質問15.  「エンバーミング」という遺体の防腐処理をすると遺体が美しく保てると聞きましたが、献体に差し支えはないでしょうか
(回答)
 残念ながら、葬儀用に行われる「エンバーミング」はご遠慮願っております。大学で行う保存処置も実は「エンバーミング」なのですが、葬儀用のものとは少し違います。大学では10年以上保管しても変化のないように処置をしますが、葬儀用ではそこまでの必要はありません。逆に、葬儀用では美しくするためにいくつかの工夫がなされますが、その中には解剖学実習に適さない処置があります。一旦、葬儀用の「エンバーミング」が施されますと、大学での解剖に適した保存処理をすることは、非常に困難です。そのため、「エンバーミング」なしのご葬儀をお願いします。

質問16.  白菊会会員が大学病院で診療を受ける場合、料金について特別な扱いがあるのでしょうか?
(回答)
 料金は大学病院の規定によって定められており、特別な扱いは一切できません。

質問17.  白菊会会員が救急車で緊急搬送されることになった場合、広島大学病院を指定しても良いのでしょうか?
(回答)
 現在、広島大学病院で受診されている場合は受診診療科に確認をし、受診可能な場合は救急隊員に告げてください。なお、大学病院は、救命救急病院に指定されていますので、救急隊員が救命措置の重要度に応じて他の病院とホットラインで連携を図り、受診可能な病院に搬送するシステムになっています。

質問18.  遺体が受け入れられたあとの遺骨の引き取りはどうなるのでしょうか?
(回答)
 ご遺体は処置して、解剖されるまで保存します。解剖まで3年くらいかかることがありますので、ご遺骨返還は遅くなります。このため、ご遺骨が返還されるまでの形見として、頭髪、爪等をお取りいただいても構いません。
 なお、ご遺骨の返還については、解剖学実習終了後、火葬され、ご遺族の方へ「ご遺骨返還式」で、解剖学実習を行った学生より、ご遺骨をお返しさせていただいております。
 また、「ご遺骨返還式」にご出席いただけない場合は、ご遺骨返還の方法につきましてご遺族の方とご相談させていただきます。

質問19.  入会後、又は申込み期間中に途中で退会及び辞退は可能ですか?
(回答)
 可能です。その際は、白菊会事務局へその旨ご連絡いただきますよう、お願いいたします。

質問20.  遺骨を引き取る遺族がいなくなった場合はどうなるでしょうか?
(回答)
 ご遺骨は必ずご遺族にお返しさせていただくこととなっておりますので、「引き取る遺族がいない」場合は、退会していただくようになります。その際は、白菊会にご連絡ください。

質問21.  白菊会に入会後、他県へ転居した場合、献体をすることはできますか?
(回答)
 他県へ転居をされた場合、白菊会事務局にご連絡をいただきますと、転居先から一番近くて献体を行っております大学に照会をさせていただき、転籍手続きをいたします。また、県内で引っ越しをされた場合も必ずご連絡をいただきますようお願いいたします。住所変更手続き後、新会員証を送付させていただきます。
(こちらからの発送物が2年間届かない場合は、強制退会扱いとさせていただきます。)

質問22.  病気や障害、また、手術をした場合にも献体はできますか?
(回答)
 解剖学実習は、生前の病気や手術のあとなどがあっても、「正常」なものと比較することによって、良い学習ができることもありますので、特に支障はありません。

質問23.  入会後は証明書のようなものがあるのでしょうか?
(回答)
 会員証を発行しております。
 会員証には、献体先大学名及び連絡先等が記入されておりますので、大切に保管していただき、家族や身近な方々にも知らせておいていただくことが必要です。
 また、旅行の時など随時、携帯をしていただきますようお願いいたします。
 


up