第1回 新入生のみなさんへ

新入生のみなさんへ

 ご入学おめでとうございます。心よりお祝い申し上げますとともに、広島大学の新たな仲間として皆さんを迎えられることを大変に嬉しく思います。

 法科大学院はプロフェッショナル・スクールですから、法律を「使う」観点からの法理論教育が行われます。法律を「使う」ことによって法理論の定着・深化が可能となります。法律を「使う」ためには、専門的な法律知識(学識)だけではなく、法的に推論し、分析し、構成し、論述する能力や、弁論能力が求められるからです。こうした学識・応用能力が実務では求められ、弁論能力を除く学識・応用能力が司法試験で問われます(法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律第4条)。

 法科大学院での学修は、授業の予習を行って出席し、教員の話を熱心に聞いて復習することだけではありません。法科大学院がプロフェッショナル・スクールであることから、学生間で相互に疑問をぶつけ合い、教え合い、情報転移や知識共有の相互作用を通じて、各人が新しい考え方を身につける相互学修が、法科大学院では有益な学修方法といえます。同じ理由から、学生自身が、目標を明確に意識して主体的に学修に取り組み、学修の成果を自ら適切に評価し、さらに必要な学びに踏み出していく自律的な学修も、法科大学院では求められます(「教学マネジメント指針」(令和2年、中央教育審議会大学分科会))。

 法科大学院とは、学生間の切磋琢磨を通じて自律的学修を実現する学修の場なのです。

 広島大学法科大学院では、相互学修の場としてグループ学習室を整備し、リーガルフェロー(若手弁護士)によるゼミを提供しています。間もなくリーガルフェローゼミの募集手続を開始しますので、積極的に活用してください。このほか、自主的なゼミ学修や上級生との間の情報転移・知識共有も有益です。現在、神戸大学法科大学院との連携に基づいて、こうした学修を支援する制度の新規導入を検討しているところです。

 これからの大学院生活では躓きも何度かあるでしょう。そのようなときには決して一人で悩まずに、友人、リーガルフェロー、チューター教員や実務法学専攻(法科大学院)担当職員の方に気軽に相談してください。

 とりわけ、安定した友人関係は、脳内環境を整え精神的安定の基礎となりますから、友人と力を合わせて司法試験に合格するという心構えが肝要です。

 東千田キャンパスについては、「法曹養成を核とした人文社会科学系の新たな拠点」として、法学部と大学院人間社会科学研究科人文社会科学専攻法学・政治学プログラムを東広島キャンパスから東千田キャンパスに移転し、令和5年度から授業開始することが大学として決定されています。

 広島大学法科大学院は、いま、さらなる充実・発展の段階に入ろうとしています。
みなさんで一丸となって司法試験を突破できるよう、教職員一同でバックアップします。

令和4年4月13日 広島大学大学院人間社会科学研究科実務法学専攻長(広島大学法科大学院長) 周田憲二


up