第2回 令和4年司法試験合格発表を受けて

 令和4年司法試験では、本法科大学院の修了生のうち5名が合格し、合格率は22.7%でした。
 合格された方には、心よりお祝い申し上げます。みなさんの並々ならぬ努力の成果です。さらに研鑽を重ね、良き実務家としてご活躍されることを期待します。
 残念ながら不合格となった方には、私たちの指導が及ばなかったことをお詫びいたします。司法試験結果を詳細に分析し、来年の合格に向けて支援を強化します。

 令和4年司法試験合格発表を受け、私たちはさらなる教育の質改善に努めますが、みなさんにも、より効果的な学修をしていただきたいと思います。

 本法科大学院の司法試験合格率は、平成30年から令和元年にかけて大幅に増加しましたが、この増加には、リーガルフェローゼミの運用開始が大きく貢献しました(今回合格5名もゼミ参加者)。リーガルフェローの先生の指導を受け、自習室に残っていた法務研修生が一挙に合格して全体の合格率を押し上げたのです。ゼミのお世話をしていた私は、法務研修生の多くが去って寂しくなった自習室を見て、とても嬉しく思いました。

 教科書を独学する学修法は、知識定着のためには非効率であり、他人に対して説明する方法が最も効率が良いようです(脳科学の知見を活用すべきです)。法科大学院に、法的な推論、分析、構成及び論述に係る応用能力の涵養が求められるのは(※連携法第4条)、論述力等が起案するために必要だからでしょうが、これらの能力を独学で修得することは困難です。

 そこで、ゼミ学修を推奨します。本法科大学院で最も多くのゼミ指導や個別指導に関与してきた私の経験でも、ゼミ参加学生の方がより力を伸ばしました。リーガルフェローの先生に毎週指導いただくことは難しいので、学生のみなさんには積極的な自主ゼミの開催をお薦めします。ゼミの課題選択や運営方法が分からなければ、教員に質問してください。

 今は、期末試験の書き直し答案作成を、ゼミで検討することから始めるのが良いでしょう。仮に単位を取得できた科目であっても、司法試験の水準に達していない答案が多いようです。他人から批判を受けなければ、論述の癖を自覚できないのかも知れません。自主ゼミで期末試験について議論し、教員に書き直し答案の再チェックを受けて論述方法を改善する試みは、学修時間を工夫できる、今しかできない学修方法です。

 法科大学院とは、学生間の切磋琢磨を通じて自律的学修を実現する学修の場です。リーガルフェローゼミは有益ですが、自主ゼミも同じ程度に有益です。
 

令和4年9月7日 広島大学大学院人間社会科学研究科実務法学専攻長 周田憲二

注※ 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律


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