第4回 新年度を迎えて

 新入生のみなさん、入学おめでとうございます。
 心よりお祝い申し上げますとともに、広島大学の新たな仲間として皆さんを迎えられることを大変に嬉しく思います。
 今年度、本法科大学院は多数の新入生をお迎えすることができました。これは、本学の法曹養成教育に対する期待の表れといえますので、みなさんが目標を達成されるよう、教職員一同、一丸となって支援いたします。

 多様なバックグラウンドを有する人材を法曹として養成することは、法科大学院の重要な役割ですから、本法科大学院では、授業や教材をオンデマンドで提供し、ICTの活用を推進して授業方法に工夫を重ねるなど、1年次の法律基本科目を中心とした未修者教育について更なる充実に努めます。
 基礎的な学識の修得を確実なものとするため、段階的かつ体系的な法曹養成教育を行い、みなさんの司法試験合格に向けた支援を強化いたします。

 進級された在学生のみなさん、進級おめでとうございます。
 2年次に進級された方は、1年次より密度の高い学修が求められます。各科目の学識を深めること(インプット)はもちろん重要ですが、科目の特性を踏まえた事案分析力や論述における構成力・表現力(アウトプット)の水準を高めることも重要です。水準の高いアウトプットを行うことによりインプットの効率も上がります。アウトプットのチェックについては、教員・リーガルフェローや自主ゼミを積極的に活用してください。
 2年次の履修科目数は1年次より多くなりますから、効率的な時間配分が求められます。体調管理・自己管理の徹底は、学修の必要条件ですから、この点はとくに留意してください。
 今年から司法試験の在学中受験が開始されます。在学中受験資格を得るには、受験する年の3月31日までに所定科目単位を取得していることが必要ですから、在学中受験を希望される方は、2年次における計画的な単位取得が求められます(新入生・新年度ガイダンス配布資料「4.2年次向け」参照。)。

 3年次に進級された方は、多くの法律実務基礎科目や展開・先端科目を履修することになりますから、明確な目標設定の上、時間を効率的に活用してください。多くの非・法曹コース修了学生が在学中受験を選択する傾向にあるため、令和5年司法試験志願者数は大幅な増加が見込まれます。在学中受験の選択については、法学部法曹コースでも4年修了が主流となりつつある現状や司法試験志願者数などに関する情報を広く収集して客観的に分析検討した上で決定してください。
 法科大学院はプロセスによる法曹養成制度の中核です。そこで、令和5年度、本法科大学院は3年次カリキュラムを一部変更し、重点演習科目における論述練習プロセスを通じて専門的学識及び法的な応用能力の涵養を図ることにしました。

 令和5年4月、本学による東千田キャンパスの「法曹養成を核とした人文社会科学系の新たな拠点」整備の一環として、法学部が東広島から東千田に移転しました。
 本法科大学院と本学法学部は、連携による一貫教育に一昨年から取り組んでおりますが、移転によりキャンパスが同一となることにより教育連携が一層深まるものと期待しております。
 また、従前からの神戸大学法科大学院との連携に加え、新たに香川大学法学部とも連携協定を締結いたしました。
 本法科大学院は、上記の連携を一層推進して教育水準の向上を図りつつ、自治体・法曹界・産業界との連携を推進して諸課題解決に資する知見を提供し、ニーズを踏まえた人材を輩出するなど、法科大学院教育の成果を社会に還元することにより、法科大学院としての存在意義を高めて参ります。

令和5年4月10日 広島大学法科大学院長 周田憲二


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