第3回 学びと自己変革

 今年も年の瀬が迫ってまいりました。この1年を振り返って、いろいろな想いを胸に、新年を迎える準備をされていることと思います。

 本研究科も、反省点も多々ありますが、法曹養成の専門職大学院として、法曹志望の学生の皆さんがその夢を確実に実現できる教育システム及び学修サービスを提供できるよう、その改善とレベルアップを常に心がけ、そのための学びには何をおいても全力を傾注しているとの自負はあります。
 
 第1に、今年10月の、神戸大学法科大学院との教育連携協定の締結を礎に、来年にかけてそのベスト・プラクティスを学び取ることにより本研究科の教育システムを改革し、教育成果の向上につなげることです。第2に、大学学部における法曹志向教育プログラムを開発・充実させることです。法曹志望者を一人でも増やすことができるように、新たなインセンティブを与え、疑似法曹体験を通じて法曹を目指す学びの術を経験的に習得する機会を設けるため、香川大学法学部にてこの教育プログラムを実施しています。法曹志向教育プログラムについては、より多くの大学においてその実施の機会が得られ、法曹への関心を持つ学生層を拡充できるよう努力してまいります。

 教育システムの改革にせよ、教育プログラムの開発にせよ、試行錯誤を繰り返しつつ、より一層の教育的実効性のある、最適なシステム及びプログラムに仕上げていかなければなりません。そのために、視野を狭めずより広い分野に学びの目を向け、1つ1つの学びを慎重に分析・検討し彼我の違いを考慮しながら、その活用の途を創る必要があります。

 そのプロセスは砂漠で1粒のダイヤを探すような努力に感じられます。逆に、宝の山に入って手を虚しくして帰っているのではないかとも思われます。そこにはさまざまな葛藤があります。しかし、自己変革や新たな創造に「学び」は欠かせません。教育機関である法科大学院として、学生の夢を実現し志を遂げることのできる教育システムは最高の価値がありますから、それに少しでも近いものを手に入れよう、より良いシステムを創造しようと一生懸命になっている者にとって、苦しいことは苦しいながら、その根底には喜びが感じられます。それが感じられないとすれば、わが身を再度原点に置いて、自分にとって最高に価値あるものを得ようとしている姿勢が本物かどうか、自らを問いたださざるを得ないでしょう。

 法曹を志して勉学に励む方々も、その学びを通じて、法曹としての基本的資質を得る自己変革を行っている以上、苦しいけれどもそこに喜びを感じられるよう、自分の志を大いなるものへと膨らませていくことが必要でしょう。誰もが楽をしたいものですが、楽をしていては、物事はうまくいきませんし、自己変革など論外でしょう。

 新たなる2017年が皆様にとって幸多き年とならんことを祈念いたしております。
 次回は、「新年の抱負」です。


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