第38回 成功への道筋-いまなすべきこと-

 お久しぶりです。すっかりご無沙汰いたしました。
 特に何かがあったわけでもないのですが、提出書類の作成や授業の準備に追われてコラムのアップができませんでした。最近、いろいろと遅れ気味で多くの方々にご迷惑をおかけしていることは深く反省しています。その一方で、30年以上前に学んだことが、近時、さまざまな領域で深く緻密な研究がなされ、また研究に留まらず、誰でも実習し体験的学修ができるようにシステム化されてきていることは非常に心強いことで喜ばしいことです。その新たな動きについて行くのは大変なのですが・・・。

 さて、本研究科も、ヒロシマの地にある専門職大学院として、平和構築に貢献できる人材を法曹界に輩出し続けることができるように、実効性のある教育改革を推進しています。改革により、一定の目的を達成することが大事です。当初の教育改革や組織改革を行いつつ、同時並行的にさらなるブラッシュアップを図り、目的を成し遂げて、周囲に喜びを与え、自らに達成感と充実感とを与えることができれば、それは成功したと言えるでしょう。

 では、成功するためには何が必要なのでしょうか?これまでも多くの先人が成功の秘訣を説いて一人でも多くの人が成功者となれるよう道を示しています。そのなかで共通していると思われる点があります。成功者と言われる人は、自分がやりたいと思っていることが何であるのかを良く考え、しっかりと把握するというプロセスを踏んでいることです。それは意識的にであれ無意識的にであれ、思考という知的プロセスを使っているということです。

 誰でも、自分が欲することややりたいことを心の中にもっているでしょうけれども、それは漠然としていて、いまだ夢に留まっていたり、イメージにすぎなかったりしているのではないでしょうか。確かに心の中に成功のイメージを持つことで、激流に翻弄されるように膨大な情報に右往左往することなく、必要な情報を適切に掴むアンテナを張ることができ、成功へと近づくとも言われます。おそらくそこで重要なのは情報の取捨選択そのものではなく、アンテナにひっかかった情報を使って、成功のイメージをより明確化させることだと思います。これにより、夢やイメージを、無方向で無秩序なレベルから、少しずつコントロールされオリエンテーリング(方向付け)された思考のプロセスに乗せて、アップグレードすることができるからです。

 漠然とした夢やイメージでは、成功に向かってあるいは目的達成に向かって前進することは難しいでしょう。前進は目的への計画的な歩みを意味しますが、夢やイメージでは目的を確立し整理して統一させて、その達成に向けて集中するというプロセスが直ちに機能しないので、成功へと前進するとは考えられないのです。動いているのにもかかわらず、少し離れてみると漂流しているように見えることもあるのです。

 成功には思考のプロセスが不可欠だと思います。最近の数値目標の設定も、確立された目的に対して具体的な取り組みをいかに結び付け、どう展開させるかを分析する作業が求められる点で、思考プロセスに乗せる工夫の一つであると思われます。その一方で、そのような知的プロセスとしての思考とはどのようなものかを学ぶ機会が減り、また即決即断が求められることが多くなるなか、いかに重要なテーマであってもじっくりと考えることが避けられつつあることには、なんとも言いがたい不安を感じています。

 次回は「いにしえに学びしこと①」です。


up