第4回 新年の抱負

 新年、あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

 2017年新春を迎え、「今年は」「今年も」「今年こそ」と意を決するところがあろうかと思います。なぜか生放送が録画放送となったディズニー・クラシックを聴きながら、夢と魔法の王国は(私にとって?)すべてを忘れることのできる空間としてやはり必要だと確信し、また、「人間界を出よう」という呼びかけも、日常からいったん離れられるマジック・ワードとして心に訴えかけ、インスピレーションを生むと感じられます。
ただ同時に、かつてロー・スクールのベテラン教授から、日常から脱出できる空間を持つことは必要であるし、非日常によって夢や魔法を感じさせるのはプロ意識を要する大変な努力だと思うけれども、自分からすると、日常において、場を変えることなく、夢を実現させるための魔法をかける方が難しいと思う、とポツリと言われたことを思い出しました。

 法科大学院は、法曹を養成する専門職大学院ですので、法曹を目指す皆さんがその夢を実現するために集まってくる場です。皆さん、毎日その大半を法科大学院で過ごし勉学に励んでいます。皆さんにとってそれが日常なのです。そこで自らの現実を知って愕然とすることも焦燥感に駆られることもあります。思うようにはならない現実の中で自分の夢を実現するために必死になって頑張っているのもよくわかっています。

 夢を実現するためには、日常において、現実の中にあっても、何か魔法が必要です。教える側がその魔法をかけようとすればそこに信頼関係がなければならないでしょう。その魔法は、潜在能力をも含め皆さんの持つ能力を飛躍的に向上させて、法曹に必要とされる基本的資質を修得させる方法論です。基本的資質から事を起こせば、記憶力が…、とか、時間不足で…、とかは解決できる課題になります。

 法科大学院で魔法の力を発揮する方法論を実行してもらうには、法科大学院という場が緊張感を漲らせ、高い集中力を生ませることがまずもって重要です。修練の場についての一つの言葉が印象的です。「一歩立ち入った瞬間に全身の毛穴が引き締まるような緊張感が道場には必要である」と。その緊張感は法科大学院にも必要です。自己変革を起こすために自分と戦い自分に勝とうとする意識がその空間にかかわるすべての人に植えつけられていることにより、その緊張感は醸し出されると思います。学生のみならず、教員も、職員も、その主体です。法科大学院という空間を形成する皆さんが自己変革の意識を持ちその変革の方向性を誤らずに自己陶冶すること、その実践に取り組むことが、本研究科の今年の目標です。意識行動改革の1年となりますように。

 第5回は「血の通う方法論」です。


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