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弁護士はクライアントの人生に関わる仕事。 大きな責任感を持って臨みたい。

安村法律事務所
安村 悠一さん

京都大学法学部を卒業し、広島大学法科大学院に入学。2014年9月、一回の挑戦で見事、司法試験に合格。司法修習を経て晴れて弁護士資格を取得し、2016年1月より、父親が営む安村法律事務所に勤務。当事務所は2017年12月に移転オープンしたばかりで、本人を含む弁護士3名が在籍している。

祖父、父も弁護士という安村さん。将来の目標を見据えて、さまざまな選択肢の中から弁護士を選んだのは、幼少期から抱いていた「人を助ける仕事に就きたい」という思いだったという。大学を卒業後、地元に戻って広島大学法科大学院へ進学し、家族の温かいサポートの中、いくつかの試練や挫折を乗り越えながら、司法試験の勉強に励む日々を過ごす。晴れて弁護士になると、「学生」から急に「先生」と呼ばれることに戸惑いながらも、そう呼ばれることに応えなければと強い使命を感じつつ、目の前の受任案件に誠意を持って向き合っている。取り扱う案件には専門的なものが多く、常に学ぶ姿勢を大切にしているという安村さんに、これまでの経緯とこれからについて詳しく尋ねてみた。

「人を助ける仕事」に就きたいという強い意志で邁進した弁護士への道。

Q. 何が弁護士を目指すきかっけになりましたか?

安村:小さい頃から、人の助けになること、親切にしてあげることが、自分にとっても嬉しいことだと感じていました。「人を助ける仕事に就きたい」と思うようになったことが、弁護士を目指したきっかけです。そこで「人を助ける仕事とは、具体的に何なのか」と、生活の安定も加味して考えると、弁護士かお医者さんかなと漠然と思っていました。ただ、医者の仕事を考えたとき、実は手先が器用ではなかったので、早々に無理だと感じて弁護士を目指すようになりました。

Q. 父親が弁護士ということは、ご自身の進路に影響していますか?

安村:少なからず、影響はあったと思います。身近な職業でしたので、何となくどのような仕事をしているのかが分かっていたのは大きかったですね。その父親からは、「自分がされて嫌なことは人にするな、自分が人からしてほしいことをしろ」とよく言われていました。
司法試験の勉強中は、「絶対弁護士になりたい」と自分自身にプレッシャーを掛けていたせいもあり、体調を崩すことがありましたが、そんな時も家族は、無理に「がんばれ!」ということもなく、健康面に気遣いながら静かに見守ってくれていました。今思うと、家族の理解があるということは、とてもありがたかったですね。

Q. 日々の仕事の様子や、主に扱われている案件について教えていただけますか。

安村:私自身の勤務時間には決まりがないので、その日にできることを自分で決めて、それが終わるまで仕事をしています。今はまだ学ぶことも多いため、どうしても帰りが遅くなることが多いですし、週末も状況次第で事務所に出て、案件を処理するための調べものをしたり、実務を行ったりしています。とはいえ、自分でコントロールして業務を遂行していますので、そこまで苦にはならないという感じです。
扱っている案件はさまざまですね。東京や大阪のような大都市とは異なり、地方都市では、これしか扱わないといった専門分野に特化した事務所は少ないと思います。当事務所は企業法務を中心にしていますが、契約書や内部規定のリーガルチェックや法律相談、訴訟の取り扱いをはじめ、さまざまな案件に対応していますし、企業法務しか扱わないというわけでもありません。そのため、学ぶことも多くなりますね。

クライアントの話に親身に耳を傾ける一方で、一歩引いて冷静に考えることを心掛けたい。

Q. 弁護士という仕事に就いて、良かったと感じることは何でしょう?

安村:いろいろな人が、頼りにしてくれるようになったことでしょうか。そのことに、とてもやりがいと責任を感じています。また弁護士という仕事の良さには、やはり自由に仕事ができるところがあると思います。自分で受任している事件は、人から命令されることなく自分で方針を決定しますので、時間だけでなく組み立て方も、自分の裁量で思うように進めることができます。もちろんその分大きな責任が伴うのですが、それもやりがいです。

Q. 仕事を始めて、戸惑うことや失敗はありましたか?

安村:印象的なのは、弁護士になって、ただの「学生」からいきなり「先生」と呼ばれる立場になってしまったことですね。1カ月くらいしかたっていない頃に、取引先の企業の方たちと食事に行ったのですが、社会人として大先輩の皆さんに「先生、先生」と言われた時は、正直困惑しました。中身が追い付いていないにもかかわらず、そのような敬称で呼ばれることに違和感を覚えつつも、責任を自覚しとにかく期待に応えなければという使命を強く感じました。一方で、仕事をする上で年齢は関係ないので、個々の案件に対して全力で取り組む以外にはないと思うようになりました。
失敗ということではありませんが、クライアントの話を親身になって聞くのは大切なことですが、その反面のめり込み過ぎてしまうと、案件の処理を行う代理人としては、視野が狭くなってしまうことがあります。気持ちが入り過ぎると、逆に苦戦してしまうのです。そのことは、ボス弁(事務所代表の弁護士)からも注意されることがありますので、一歩引いて全体を見渡し、冷静に考えるように心掛けています。

Q. お忙しいと思いますが、プライベートはどのように過ごされていますか?

安村:まだ仕事に余裕がないというのが正直なところで、プライベートとのバランスはうまく取れていませんね。デスクワークばかりになってしまい、体を全く動かせていないこともあってジムに通い始めたのですが、最近はさぼり気味になってしまっています。
プライベートというほどでもありませんが、夜に時間が空けば、弁護士仲間5〜6人と、インターネット上での近況報告を兼ねて、オンラインゲームをすることがあります。これはちょっとした息抜きになっていますね。仲間は主に県外の人で、場所を選ばずにつながる、今時の交流といった感じです。

Q. 今後の課題や将来のビジョンを教えてください。

安村:まだまだ知識が必要だと実感しています。例えば建築関係の案件の場合、業界で一般的に使われている工法名など分からないことがたくさんあり、専門的な分野に関わるためには、もっと勉強しなければならないと痛感します。知らない言葉をそのままにすると業務に差し支えますので、その場で尋ねることが必要な場合もあります。違う例では、企業の会計に絡んだ案件だと、会計の知識がないと相手に対して深い質問が行えません。今もし多くの時間を与えられるなら、一番に会計を勉強したいと思います。実務を経験する中で、会計の知識は重要だと痛感しています。これらの勉強のためには、時間の使い方をもっと効率化して、オンとオフも使い分けなければなりません。求められる水準は高いのですが、弁護士になったからには、この仕事を引退する日まで精進を続けるしかありませんね。
また近年は、弁護士の業務にもAI活用の波が来ると言われていますので、今からアンテナを張っておきたいと思っています。

 

試験勉強がつらく、挫折しそうな時も「弁護士になりたい」という強い意志を貫き通す。

Q. 広島大学法科大学院を選んだ理由を教えていただけますか。

安村:一番は、地元に戻った方が、試験勉強に集中できる環境が整えられると思ったからです。端的に言ってしまうと、実家のサポートがあることを期待していました。やはり、司法試験のプレッシャーはとてもつらく、試験の1カ月前には、おかゆしか体が受け付けなかったのですが、そんな時は、実家で良かったと思いました。温かく見守ってくれた家族がいたので、感謝しています。
また、広島大学の法科大学院で学んだ先輩方が、地元の法曹界に多くいらっしゃることを聞いていましたので、それも心強かったです。

Q. 広島大学法科大学院で学んで良かったことはありますか?

安村:少人数制で教員と学生の距離が近く、疑問に思ったことをすぐに聞くことができました。おそらく大規模なロースクールでしたら、そういった雰囲気はなく、気軽に尋ねることは難しいのではないでしょうか。教員の方が、放課後に学生と自主的にゼミを組んでくださり、練習問題を解いたり用語を解説・整理したりと、手厚くサポートしていただいたことは今でも覚えていて、とても感謝しています。
少人数ということで学生同士の距離も近く、お互いが勉強の進度はもちろん、つまずきなども手に取るように分かります。仲間でありライバルなので、いい意味でもプレッシャーを感じつつも、刺激し合いながら切磋琢磨することができました。
その他に良かったこととしては、自習室がとても使いやすかったです。期の初めに、座席がだいたい決まっていましたので、席の取り合いなどもなく、スムーズに自習できました。私は家だと余計なことに気が散ってしまうので、時間いっぱいまで利用させてもらって、試験勉強に集中することができました。

Q. これから法曹を目指す方へメッセージをいただけますか。

安村:弁護士になりたい、法曹を目指したいという理由は、人それぞれだと思いますが、「なりたい」という気持ちがあるからこそ、司法試験という大変な試験に挑まれるのだと思います。間違いなく大変な試験ですし、資格を取得してからも勉強を続けていかなければなりません。しかしこの仕事は、自分の能力次第で自由に進めることもできますし、クライアントに高いクオリティーの結果を提供することもできます。それによって困っている人を助けることができた時の喜びは、何事にも代えがたいと思います。自分の力で、誰か困っている人を助けたいと思う人は、ぜひ法曹、弁護士を目指してほしいと思いますし、その気持ちには高い価値があると思います。

2018年2月27日取材
取材場所/安村法律事務所


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