• ホームHome
  • 医学部
  • [研究成果]アルツハイマー型認知症の記憶障害メカニズムに関する新発見

[研究成果]アルツハイマー型認知症の記憶障害メカニズムに関する新発見



福島県立医科大学の小林和人教授・西澤佳代助教・小林とも子研究員と広島大学の坂田省吾教授・岡田佳奈研究員の共同研究チームは、標的とした神経細胞のみを取り除く技術を利用して、脳内の前脳基底部に存在し、アセチルコリンを伝達物質とする神経細胞を除去することに成功し、その結果、物体の場所やそれ自身の認識に関わる記憶機能が低下することを明らかにしました。

【研究成果のポイント】

●アルツハイマー型認知症の初期症状のひとつである再認記憶の障害に関わる2種類の脳内(前脳基底部)アセチルコリン神経細胞は、それぞれが異なる再認記憶(場所と物体の記憶)の機能に重要な役割を持つことが明らかになりました。

●再認記憶障害における病態の発症機序の理解や新しい治療薬の開発に結び付くものと期待されます。

アセチルコリン神経細胞には2種類のタイプ(内側中隔あるいはマイネルト基底核と呼ばれる脳の領域に存在する神経細胞)があり、前者の除去により、動物は物体がどこにあるかがわからなくなり、後者の除去では、その物体が何かということがわからなくなりました。これまで、アルツハイマー型認知症においてアセチルコリン神経細胞が失われることは指摘されていましたが、それぞれのアセチルコリン細胞がどのように記憶機能に関わっているのかについては全くわかっていませんでした。今回、異なるタイプのアセチルコリン神経細胞が、別々の再認記憶の機能を担っていることが世界で初めて発見されました。このことは、アルツハイマー型認知症の病態の発症機序や記憶障害に対する治療薬の開発に大きく結び付くと考えられます。本研究の成果は、英国科学誌Scientific Reports(8月6日号)に掲載されます。

【お問い合わせ先】

広島大学 大学院医歯薬保健学研究院 神経生理学 

研究員 岡田 佳奈(オカダ カナ)

Tel:082-257-5127 Fax:082-257-1622 

Email:kaokada*hiroshima-u.ac.jp

(*は@に置き換えてください)


up