1年生は教養科目が多いですが、医療人としての素養を身に着けるための授業も多いです。特にグループワークが多く、そこでは医療者として適切なコミュニケーションや行動について学ぶことができます。グループワークは他の学科と合同で行うこともあり、多職種連携について学ぶ機会になります。さらに、学内外で活躍されている方の講演や医療関連の現場見学を通じて医学研究や医療現場の現状について知る機会があり、将来医師や医系研究者になるという実感が湧いてくると思いま す。後期に入ると医学の専門知識に関する科目が始まり、人体の構造の基本的な部分を学びます。
1年生は他の学年と比べて時間に余裕があるため、部活動に打ち込む、自動車の免許を取る、興味をもった研究室に通うなど様々なことにチャレンジすることができます。初めての大学生活に慣れないことがあるかもしれませんが、自分の世界が広がり、充実した1年を送ることができると思います。
2025年入学生のカリキュラム
※学生のコメントについては、カリキュラムの変更等により、上記のプログラムと一部違いがあります。
1年次生
4~5月に、チューターごとに企画されるオリエンテーション行事に参加し、上級生と交流しながら充実した学生生活を送るきっかけを作ります。1年生は主に教養教育を学びます。一部、専門教育として「脳神経医学Ⅰ」「医療者プロフェッショナリズム」、「コミュニケーション学」などを学ぶことにより、基礎医学の知識や医師の素養を身につけます。「医療行動学」など、医療や研究が行われている最前線の現場に出向いてこれから自分が進む医療人の姿をイメージしてもらう授業もあります。また、夏休みには、歯学部・薬学部と合同で早期体験実習を行い、チーム医療の基礎を学びます。
IPE(多職種連携教育)での
意見交換風景
2年次生
2年生からは、本格的な医学の勉強が始まり、「人体構造学Ⅱ」、「脳神経医学Ⅱ」「組織細胞機能学」(生化学1、生化学2、生理学)、「生体反応学」(細菌学、ウイルス学、薬理学、免疫学、寄生虫学)などの基礎医学の授業で正常な人体の構造としくみを学びます。また、「人類遺伝学」、「放射線生物学・放射線健康リスク科学」などの科目では、医師として身につけるべき素養・教養を身につけます。「病因病態学」は主として病気の仕組みについて、チュートリアル方式および通常の講義型式を併用しながら学びます。チュートリアル方式とは、問題を解決する能力と自ら主体的に学ぶ習慣を身につけるための、グループ学習を中心とした新しい授業のスタイルです。
基礎医学の実習風景
2年生になると基礎医学を中心とした専門科目が多く始まり、「人体がどのような構造を持ち、どのように機能するか」を学びます。これらは3年生で学ぶ臨床医学を理解する上で必要不可欠な知識です。講義だけでなくさまざまな実習を通して理解を深めることができます。
2年生前期に行われる人体解剖実習では、班ことに3ヶ月かけて御献体を解剖させていただきます。御献体は私たちの「初めての患者」であり、「人体構造を詳細に教えてくださる先生」でもあります。医師を志すものとしてどのように患者と向き合うべきかを考えさせられる機会でありました。解剖実習期間にも他の科目は並行して行われるため勉強はかなり大変でしたが、一生忘れることのない責重な経験であり多くの医学知識を学ぶことができました。
2年生で学ぶ内容は3年生になってからも重要です。1年生と比べ忙しくなりますが、将来につながるものばかりなので日々の勉強の積み重ねが大切です。
3年次生
2年生までに学んだ正常な体の知識の上に、様々な病気について学びます。臨床医学の講義では、医の倫理、診察の基本から始めて、まずは人体の各臓器におこる病気について、次いで全身に症状が現れる各種疾患について学びます。また、専門の外国人教員による少人数の「医学英語」の授業も行われます。「臨床病理学」では、チュートリアル方式および通常の講義型式が併用されます。その後3年次の最後には「社会医学」(法医学、衛生学、公衆衛生学)を学びます。
チュートリアル講義での
ディスカッション
3年生では臨床医学を中心に学びます。各診療科の先生方が講義に来られ、実際に先生方が担当した患者さんの症例を紹介してくださることもあります。3年生に臨床医学の座学をほとんど詰め込んでいる分、覚える内容やその試験の量は膨大で、2年次よりも勉強することが大切であるように思います。講義のみを理解して試験に挑むのが難しいと感じた人の中にはCBTや国試対策用の動画教材を先に購入して勉強する人も3年生から徐々に増え始めます。
3年生の後半では社会医学を学びます。疾患やその治療を主な対象としている臨床医学とは異なり、それ以外で医師になるうえで重要な法律や統計などを学びます。公衆衛生医師や法医学者のような一般の人が思い描く医師とは違った部分を見ることができます。
4年生の後半からは臨床実習で実際の臨床の場に出ることになるので、それに必要な知識を幅広く学ぶために3年生での学習が重要だと感じています。
4年次生
3年生までに基本的な病気の講義は終了し、4年次前期には、学内及び海外を含めた学外の施設でも実施することができる「医学研究実習」を行います。実習の研究成果が上がれば、学会発表や論文執筆をめざします。実習の最後には、全員がポスターを作成し、これを審査員の前で発表する発表会が行われます。「症候診断治療学」では、患者が症状を訴えて来られたことを想定して、それをどのように診察し、検査を行って診断に至るか、またいかなる診療を行うのかを、チュートリアル方式で学びます。その後、「臨床実習」に備えて「臨床実習入門プログラム」で実践的な診療技能を修得します。この前後には、それまで身につけた基礎・臨床医学の知識や技能・態度をチェックする共用試験(コンピュータで知識を問うCBTと、診療技能を見るOSCEからなります)を受けます。これに合格すると大学から白衣とワッペンが授与され、1月からの「臨床実習」への参加が許可されます。こうして年明けの1月からはいよいよ「臨床実習Ⅰ」が始まります。
診療手技のトレーニング風景
4年生からは、より実践的なカリキュラムが始まります。前期に行われる医学研究実習では、学生が自ら選んだ学内外の研究室で医学研究に4ヶ月閻取り組み、その成果をポスターにまとめて発表します。期間中は他に授業がなく、研究に専念できる環境が整っています。研究の過程を体験することで得られた探究心や思考力は、様々な場面で役立つと感じています。実習終了後も研究を継続する学生もおり、私自身もこの実習をきっかけに研究への関心が高まり、継続して学ばせていただいています。
研究実習終了後は、臨床実習へ向けたカリキュラムが始まります。症候診断治療学では、症状を起点に鑑別診断や治療万法などを考える形式で、グループディスカッシ ョンやプレゼンテーションを通じて臨床的な課題に取り組みます。臨床実習入門プログラムでは、実際に診察手技を学んでいきます。これらの前後に行われる共用試験(CBTおよびOSCE)に合格することで、1月から実際の医療現場での学びが始まります。
5年次生
臨床実習では、実際の患者さんに対する診療のなかで実習が行われます。「臨床実習Ⅰ」は4年次から始まっていますが、5年次では1年を通じて臨床実習が行われます。3人ないし4人1組ですべての診療科で実習する「臨床実習Ⅰ」が12月一杯で終わると、1月からは希望の診療科を選択しさらに深い実習となる「臨床実習Ⅱ」が始まります。「臨床実習Ⅱ」では、大学病院だけではなく県内の多くの国公私立病院でも実習が行われます。
臨床実習での画像診断演習
4年生の1月から、実際に大学病院の臨床現場に立ち会って臨床実習Iを行います。患者さんの問診・診察や、検査および手術の見学、カンファレンスの参加、多職種の医療関係者の皆様との関わりなどを通じて、これまでの講義や実習で学んだ知識をさらに深め、実際の臨床現場で必要となる能力を養います。臨床実習Iですべての診療科をローテーションして、実際の臨床現場を見学・体験することで、医学分野全体の知識を深めるだけでなく、将来の専門研修プログラム選択の参考にすることもできます。
1月からは個人が希望する診療科を選択して実習に取り組む臨床実習IIが始まります。それぞれの診療科あたりの実習期間が長くなり、各個人が興味を持つ分野についてさらに理解を深めることができます。大学病院だけでなく県内の市中病院での実習も選択することで、日常診療でよく出会う症例に高頻度であたるといった、大学病院での実習とは異なる経験を積むことも可能です。
6年次生
9月末まで「臨床実習Ⅱ」が行われます。この実習の合間には、卒後研修を希望する病院を見学したり、面接を受けたりします。夏前には全国規模で自分の希望する病院と病院の受け入れ枠を調整する「マッチング」が行われます。そして10月に卒業試験が行われ、すべての科目に合格すると卒業できます。卒業の前、毎年2月初旬に国家試験が行われ、6年間の学習の成果をいかんなく発揮することになります。
臨床実習風景

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