医学科教育プログラム

2024年入学生のカリキュラム

※学生のコメントについては、カリキュラムの変更等により、上記のプログラムと一部違いがあります。

1年次生

4~5月に、チューターごとに企画されるオリエンテーション行事に参加し、上級生と交流しながら充実した学生生活を送るきっかけを作ります。1年生は主に教養教育を学びます。一部、専門教育として「脳神経医学Ⅰ」「医療者プロフェッショナリズム」、「コミュニケーション学」などを学ぶことにより、基礎医学の知識や医師の素養を身につけます。「医療行動学」など、医療や研究が行われている最前線の現場に出向いてこれから自分が進む医療人の姿をイメージしてもらう授業もあります。また、夏休みには、歯学部・薬学部と合同で早期体験実習を行い、チーム医療の基礎を学びます。

IPE(多職種連携教育)での
意見交換風景

学生のコメント(医学科2年生 二川 晃栄さん)

1年生は教養教育が中心ですが、後期には「人体構造学I」、「脳神経医学I」といった専門科目があるほか、年間を通して単なる知識ではなく、医療者としての心構えやコミュニケーションの取り方、医学研究の最前線などについて学べる講義も数多くあります。グループワークも数多く行われ、コミュニケーション能力を高めることができます。またIPEや合同早期体験実習では、他学部・学科の学生とともに議論したり病院見学をしたりすることを通して、近年重視されている多職種連携について学ぶことができます。
さらに医療行動学では、シミュレーターを使った採血や糸結び実習など、実際の医師のような体験ができる機会もあります。
1年生は2年生以降に比べて時間に余裕があるので、勉強にとどまらす、バイトや部活・サークルに打ち込んでみたり、車の免許を取ったり、趣味や旅行を楽しんだりしてみるのもいいと思います。こうした経験が意外にも後の医学の勉強に活きることもあります。

2年次生

2年生からは、本格的な医学の勉強が始まり、「人体構造学Ⅱ」、「脳神経医学Ⅱ」「組織細胞機能学」(生化学1、生化学2、生理学)、「生体反応学」(細菌学、ウイルス学、薬理学、免疫学、寄生虫学)などの基礎医学の授業で正常な人体の構造としくみを学びます。また、「人類遺伝学」、「放射線生物学・放射線健康リスク科学」などの科目では、医師として身につけるべき素養・教養を身につけます。「病因病態学」は主として病気の仕組みについて、チュートリアル方式および通常の講義型式を併用しながら学びます。チュートリアル方式とは、問題を解決する能力と自ら主体的に学ぶ習慣を身につけるための、グループ学習を中心とした新しい授業のスタイルです。

基礎医学の実習風景

学生のコメント(医学科3年生 清水 慎之介さん)

2年生からは、本格的に医学を学び始めます。ほとんどの講義が基礎医学であり、「人体がどのような構造をしていて、どのように機能しているのか」を主に学びます。人体への理解を深めることで、3年生以上で学ぶ臨床医学を理解する土台を作り上げます。
また、2年生では、多くの実習も行われます。その中でも、解剖実習は4か月にわたって行われ、毎日夜まで御献体を解剖させていただきます。御献体を自らの手で解剖することで、講義では決して得られない知識・経験を得られました。そして、解剖実習では、担当する御献体を「私たちの初めての患者」であると教えられます。実際にそのように考えると、解剖実習を進める中で、将来医師として患者に接する自覚が芽生えました。
3年生になった今、2年生で基礎医学を真剣に勉強して良かったと、本当に感じております。2年生になった時には、疾患を勉強することが少なくてモチベーションの維持に苦労するかもしれませんが、その学びが3年生以降の学びの糧となることを思い出していただければと思います。

3年次生

2年生までに学んだ正常な体の知識の上に、様々な病気について学びます。臨床医学の講義では、医の倫理、診察の基本から始めて、まずは人体の各臓器におこる病気について、次いで全身に症状が現れる各種疾患について学びます。また、専門の外国人教員による少人数の「医学英語」の授業も行われます。「臨床病理学」では、チュートリアル方式および通常の講義型式が併用されます。その後3年次の最後には「社会医学」(法医学、衛生学、公衆衛生学)を学びます。

チュートリアル講義での
ディスカッション

学生のコメント(医学科4年生 長田 知紗さん)

3年生になるといよいよ臨床医学の授業が本格的に始まり、各器官の疾思について具体的に学習します。実際に病院で勤務されている各科の先生方による講義では、医療現場でのお話を聞くことも多く、医師になる自覚がより一層強くなります。毎週のようにテストがあり暗記量も膨大なので、辛く感じることも多いですが、友達と励まし合って乗り越えた経験は艮い思い出になります。3年生の学習に真剣に取り組むことが4年生のCBTにも活かされるので、日々計画的に勉強を進めることが大切です。冬休み明けの社会医学の授業では、医系技官や公衆衛生医師の方々の講義を受けることも多く、将来の選択肢が広がるきっかけになります。また、実習ではグループワークによる活動がメインとなり、将来に役立つコミュニケーションスキルを鍛えることができます。
3年生は、4年生以降の病院実習に向けての土台を作るために重要な学年であり、臨床的な内容を学習することで将来のイメージも膨らむため、医学生としてのターニングポイントとなる1年です。

4年次生

3年生までに基本的な病気の講義は終了し、4年次前期には、学内及び海外を含めた学外の施設でも実施することができる「医学研究実習」を行います。実習の研究成果が上がれば、学会発表や論文執筆をめざします。実習の最後には、全員がポスターを作成し、これを審査員の前で発表する発表会が行われます。「症候診断治療学」では、患者が症状を訴えて来られたことを想定して、それをどのように診察し、検査を行って診断に至るか、またいかなる診療を行うのかを、チュートリアル方式で学びます。その後、「臨床実習」に備えて「臨床実習入門プログラム」で実践的な診療技能を修得します。この前後には、それまで身につけた基礎・臨床医学の知識や技能・態度をチェックする共用試験(コンピュータで知識を問うCBTと、診療技能を見るOSCEからなります)を受けます。これに合格すると大学から白衣とワッペンが授与され、1月からの「臨床実習」への参加が許可されます。こうして年明けの1月からはいよいよ「臨床実習Ⅰ」が始まります。

診療手技のトレーニング風景

学生のコメント(医学科5年生 田尾 友記子さん)

4年生では、これまで得た知識を活かして実践的なカリキュラムに取り組みます。4月から7月までの医学研究実習では、それぞれ選択した研究室へ所属し、各自のテーマを持って実際に医学研究に取り組みます。これまでの座学とは異なり、まだ答えのない問題について主体的に取り組むための考え方を教わることができました。7月末の研究発表会では学年全体でポスター発表やスライド発表を行い、研究成果について学生や先生方とディスカッションします。その後も研究を続けたり、実際の学会に参加したりする学生もいます。
夏以降は臨床実習へ向けたカリキュラムとなります。症候診断治療学では、グループで話し合いながらより臨床的な課題に取り組みます。臨床実習入門プログラムでは実際に手を動かして診察手技を学びます。包括的な医学的知識を問われるCBTと臨床的な実技試験であるOSCEに合格することで、1月からの臨床実習に参加できます。実習では、いよいよ実際の医療現場に出て医療を学ぶことになります。

5年次生

臨床実習では、実際の患者さんに対する診療のなかで実習が行われます。「臨床実習Ⅰ」は4年次から始まっていますが、5年次では1年を通じて臨床実習が行われます。3人ないし4人1組ですべての診療科で実習する「臨床実習Ⅰ」が12月一杯で終わると、1月からは希望の診療科を選択しさらに深い実習となる「臨床実習Ⅱ」が始まります。「臨床実習Ⅱ」では、大学病院だけではなく県内の多くの国公私立病院でも実習が行われます。

臨床実習での画像診断演習

学生のコメント(医学科6年生 梶江 麻衣さん)

4年生1月より開始される臨床実習Iは、これまでの講義や実習を通して学んだ知識を存分に活かしながら、実践的な臨床知識を身につけることを目標とした診療参加型臨床実習です。実際の診療チームに参加し、その一員として患者さんの問診・診察の実践、検査や手術の見学を行う中で、医療現場において必要となる知識、思考法、技能、態度の基礎を学びます。患者さんや各科の医師だけではなく、看護職、医療技術職をはじめとする多職種の診療スタッフの皆様と関わらせて頂く機会も多く、将来医師として従事し多職種連携を図っていくに先立って、留めておきたい知識やスキルを吸収することができます。
5年生1月より開始される臨床実習Ⅱでは、個人が希望する診療科を組み合わせてスケジュールを構成し、実習に取り組みます。大学病院に加え、県内の多くの病院・診療所での実習も可能となっており、より日常的に高頻度で遭遇する疾患について学ぶ機会が増え、更なる臨床推論能力の向上を図ります。

6年次生

9月末まで「臨床実習Ⅱ」が行われます。この実習の合間には、卒後研修を希望する病院を見学したり、面接を受けたりします。夏前には全国規模で自分の希望する病院と病院の受け入れ枠を調整する「マッチング」が行われます。そして10月に卒業試験が行われ、すべての科目に合格すると卒業できます。卒業の前、毎年2月初旬に国家試験が行われ、6年間の学習の成果をいかんなく発揮することになります。

臨床実習風景


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