医学科教育プログラム

2023年入学生のカリキュラム

※学生のコメントについては、カリキュラムの変更等により、上記のプログラムと一部違いがあります。

1年次生

4~5月に、チューターごとに企画されるオリエンテーション行事に参加し、上級生と交流しながら充実した学生生活を送るきっかけを作ります。1年生は主に教養教育を学びます。一部、専門教育として「脳神経医学Ⅰ」「医療者プロフェッショナリズム」、「コミュニケーション学」などを学ぶことにより、基礎医学の知識や医師の素養を身につけます。「医療行動学」など、医療や研究が行われている最前線の現場に出向いてこれから自分が進む医療人の姿をイメージしてもらう授業もあります。また、夏休みには、歯学部・薬学部と合同で早期体験実習を行い、チーム医療の基礎を学びます。

IPE(多職種連携教育)での
意見交換風景

学生のコメント(医学科2年生 西﨑 碧生さん)

医学科最初の1年は医療・医学の世界の広さを知り、同時に医療者としてのコミュニケーションカを磨く重要な期間だと思います。
災害医療や医療政策、基礎・社会医学研究など、いわゆる「お医者さんの仕事」とは少し違った医療・医学について、実際の現場で活躍する先生方から教えていただく機会があります。もちろん臨床医療で活躍されている先生からもご講義いただきます。また、多くの講義でグループワークが行われ、コミュニケーションスキルを上達させる実践の機会となります。さらに医療者のための心理学を学ぶ講義や、具体的な場面設定で適切なコミュニケーションを考える講義を通じて、コミュニケーションの理論も学びます。
2年生以降に比べると時間に余裕があるので、部活やサークル、研究活動など色々してみるのも良い経験になると思います。ただし、学業を最優先にしたバランスの良い生活が大切です。

2年次生

2年生からは、本格的な医学の勉強が始まり、「人体構造学」、「脳神経医学Ⅱ」「組織細胞機能学」(生化学1、生化学2、生理学)、「生体反応学」(細菌学、ウイルス学、薬理学、免疫学)などの基礎医学の授業で正常な人体の構造としくみを学びます。また、「人類遺伝学」、「放射線生物学・放射線健康リスク科学」などの科目では、医師として身につけるべき素養・教養を身につけます。「病因病態学」は主として病気の仕組みについて、チュートリアル方式および通常の講義型式を併用しながら学びます。チュートリアル方式とは、問題を解決する能力と自ら主体的に学ぶ習慣を身につけるための、グループ学習を中心とした新しい授業のスタイルです。

基礎医学の実習風景

学生のコメント(医学科3年生 桑原 萌音さん)

2年生では医学の勉強が本格化します。1年を通して人体構造学、組織細胞機能学、生体反応学などの講義で人体をさまざまな視点で勉強します。
前期には約4ヶ月、解剖学実習が行われます。3~4人一組で献体された御遺体を解剖させていただき、実際に目で見て手で触れ、人体の構造を隅々まで学びます。医学生だからこそ経験できることであり、衝撃的かつ貴重な時間になります。また、組織細胞機能学、人体構造学などテストもたくさんあるので、友達と協力し励まし合いながら乗り越えることが大切です。後期にある病因病態学ではシナリオを用いてグループディスカッションを行い、そこで出てきた疑問点を自分で調べ発表します。興味を持ったところを文献でとことん掘り下げて調べたり、時には専門の先生に質問したりと、主体的に学ぶことができます。
2年生は膨大な知識を身に付けるため相当な勉強量が必要であり、受験期以上の辛さがありますが、3年生で様々な疾患を理解する上では2年生で学んだことが基礎となり、とても重要な学年です。

3年次生

2年生までに学んだ正常な体の知識の上に、様々な病気について学びます。臨床医学の講義では、医の倫理、診察の基本から始めて、まずは人体の各臓器におこる病気について、次いで全身に症状が現れる各種疾患について学びます。また、専門の外国人教員による少人数の「医学英語」の授業も行われます。「臨床病理学」では、チュートリアル方式および通常の講義型式が併用されます。その後3年次の最後には「社会医学」(法医学、衛生学、公衆衛生学)を学びます。

チュートリアル講義での
ディスカッション

学生のコメント(医学科4年生 隅 朝美さん)

3年生の講義では臨床医学の授業が増えていきます。各器官の疾患について具体的に学んだり、各科の先生方からの講義を受けたりと、2年生の時より実践的な内容を学習できます。また、外部の講師の方の講義などを受ける機会も得ることができるので、視野を広く持つことができます。テストの数が以前と比べて多くなっていくため、辛いと感じることもありますが達成感も強く感じます。講義の内容によってはグループワークによる実習をすることもあり、班員と活発にコミュニケーションをとることが求められ、将来に役立つスキルを身に着けることにつながります。
勉強面だけではなく、部活動やサークルにおいても3年生が中心となり部長や幹部などの重要な役回りを務め、充実した時間を過ごせます。3年生は4年生以降の研究実習や病院実習に向けての土台を作る大事な期間であるとともに、仲間と時間を過ごすことで楽しみも多く得られる学年になります。

4年次生

3年生までに基本的な病気の講義は終了し、4年次前期には、学内及び海外を含めた学外の施設でも実施することができる「医学研究実習」を行います。実習の研究成果が上がれば、学会発表や論文執筆をめざします。実習の最後には、全員がポスターを作成し、これを審査員の前で発表する発表会が行われます。「症候診断治療学」では、患者が症状を訴えて来られたことを想定して、それをどのように診察し、検査を行って診断に至るか、またいかなる診療を行うのかを、チュートリアル方式で学びます。その後、「臨床実習」に備えて「臨床実習入門プログラム」で実践的な診療技能を修得します。この前後には、それまで身につけた基礎・臨床医学の知識や技能・態度をチェックする共用試験(コンピュータで知識を問うCBTと、診療技能を見るOSCEからなります)を受けます。これに合格すると大学から白衣とワッペンが授与され、1月からの「臨床実習」への参加が許可されます。こうして年明けの1月からはいよいよ「臨床実習Ⅰ」が始まります。

診療手技のトレーニング風景

学生のコメント(医学科5年生 原田 健司さん)

4年生になると座学中心のカリキュラムから主体性が求められる実践的なカリキュラムヘと変化します。4ヶ月にわたる医学研究実習では、自分が興味を持つ分野の研究室に所属し、1人1つのテーマを持ち医学研究を実践します。医学研究は、病態理解や新規治療法開発などのための、重要な医師の仕事の一つです。実習期間中は、日々の実験や論文抄読会、セミナーなどを通して、研究の大変さと面白さを肌で感じることができます。また、最後に行われる研究発表会を通して、多くの学生や先生とディスカッションする楽しさを体験することができます。
夏以降は症候診断治療学の講義などを通して、より横断的な知識の整理と理解を深めます。臨床実習入門プログラムでは診察手技を学ぶことができ、さらに実践へと近づいていきます。秋のCBT/OSCEという大きな試験を乗り越えれば、年明けから臨床実習に参加できることとなり、実際の患者さんを前に臨床を学ぶことになります。

5年次生

臨床実習では、実際の患者さんに対する診療のなかで実習が行われます。「臨床実習Ⅰ」は4年次から始まっていますが、5年次では1年を通じて臨床実習が行われます。3人ないし4人1組ですべての診療科で実習する「臨床実習Ⅰ」が12月一杯で終わると、1月からは希望の診療科を選択しさらに深い実習となる「臨床実習Ⅱ」が始まります。「臨床実習Ⅱ」では、大学病院だけではなく県内の多くの国公私立病院でも実習が行われます。

臨床実習での画像診断演習

学生のコメント(医学科6年生 岸 茉里奈さん)

4年生1月からは臨床実習Ⅰが始まります。この実習では3~4人1組となり、1年間をかけて全ての診療科を回ります。実際の患者さんを担当して問診や診察をしたり、手術に参加したりと、今まで講義で得た知識を活かしながら、より実践的な臨床能力を学びます。知識だけではなく、医師としての態度や患者さんとの接し方など、日々勉強になることばかりです。また、中山間地での1週間の地域医療実習や救急車同乗実習、学会参加など貴重な経験もさせていただきました。優しく教育熱心な先生方にご指導いただきながら、班員たちと力を合わせて、非常に充実した1年間を過ごすことができました。
5年生1月からは、それぞれが自分の希望する診療科を選択して実習を行う、臨床実習Ⅱが始まります。大学病院だけではなく、県内の様々な市中病院で実習を行うことが可能です。大学病院では診る機会の少ない疾患について勉強することができ、より深い学びに繋がります。

6年次生

9月末まで「臨床実習Ⅱ」が行われます。この実習の合間には、卒後研修を希望する病院を見学したり、面接を受けたりします。夏前には全国規模で自分の希望する病院と病院の受け入れ枠を調整する「マッチング」が行われます。そして10月に卒業試験が行われ、すべての科目に合格すると卒業できます。卒業の前、毎年2月初旬に国家試験が行われ、6年間の学習の成果をいかんなく発揮することになります。

臨床実習風景


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