小型無人機用モーフィング翼の変形形状の計測

本研究成果のポイント

〇小型無人機は、警戒監視などを中心に利用が拡大しているが、長距離・長時間飛行への要求が強い。渡り鳥の翼のように、飛行状態に応じて翼面全体を大きく変化させる「モーフィング翼」を採用することで、大幅に効率的な飛行が可能となるといわれている。そのため、小型無人機の主翼への適用を目指し、独自のモーフィング翼を設計・製作し、今回、ステレオカメラを用いてモーフィング翼の変形状態を精密に測定できることを示した。

概  要

 近年、警戒監視や災害対応、小口配送などを中心に小型無人機の利用が拡大しており、その長距離・長時間飛行への要求が高まっている。現在の航空機や無人機の主翼は、固定翼とフラップやエルロンなどの動翼から構成され、動翼を動かすことで飛行が制御される。しかし、渡り鳥などは、翼全体を大きく変形させることで、揚力や抗力を最適化し、安定した飛行を実現している。この翼面全体が大きく変形する翼を「モーフィング翼」といい、効率的な飛行が実現できるとされ、欧米を中心に無人機に適用する研究が進められている。
 当研究室でも、図1に示すように、渡り鳥と同等サイズの小型無人機の主翼翼端部をモーフィング翼とするための研究を進めている。その一環として、図2に示すようにステレオカメラを用いてモーフィング翼の変形状態を精密に測定する技術を開発した。モーフィング翼を設計・製作し、飛行時に想定される曲げおよびねじり荷重を与えた時に、設計通りの変形が得られなければならないため、変形状態の測定は重要である。モーフィング翼は、そもそもライト兄弟による世界初の動力飛行機「ライトフライヤー」に採用されており、今後の小型無人機の設計において再び注目される技術である。

図1  小型無人機

図2 ステレオカメラによるモーフィング翼の変形測定

【参考文献】
Katagiri, K., Park, C. S., Kawakita, S., Tamayama, M., Honda, S., & Sasaki, K. (2024). Deformation measurement of CFRP skeletal structure for the twist morphing wing by using the stereo vision. In AIAA SCITECH 2024 Forum (AIAA 2024-0850).
https://doi.org/10.2514/6.2024-0850


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