令和7年度学位記授与式を行いました

2026年3月23日、令和7年度広島大学学位記授与式が行われ、生物生産学部生93名が卒業しました。

午前中に東広島運動公園で行われた式典の後、午後からは学部全体での学位記授与式を行い、授与式終了後には、各プログラム毎に屋外で記念撮影を行いました。

水圏統合科学プログラム

食品科学プログラム

応用動植物科学プログラム

分子農学生命科学プログラム

国際生物生産学プログラム

2025年度 卒業証書授与式にあたって

広島大学 生物生産学部 学部長 島田昌之

広島大学生物生産学部を代表し、2025年度卒業証書授与式にあたり、心よりお祝い申し上げます。

卒業生の皆さん、多くの皆さんは、新型コロナウイルス感染症による社会的混乱から徐々に日常が戻りつつあった4年前に、本学部へ入学されました。当時は、会食制限やアクリル板の設置、マスク着用などが日常であり、現在から振り返ると遠い過去のように感じられるかもしれません。その後の4年間は、社会や技術が大きく変化した時期でもありました。とりわけ、大規模言語モデルに基づく対話型生成AIが急速に普及し、近年では自律的にタスクを実行するAIエージェントも登場しています。こうした変化は、いわゆる第4次産業革命の進展を象徴するものであり、皆さんはその只中で学生生活を送られました。

生成AIは、科学や教育の分野においても大きな影響を及ぼしています。かつては使用を制限する議論が中心でしたが、現在では、いかに適切に活用し、研究や学びの質・効率を高めていくかが問われる段階に入っています。たんぱく質立体構造予測や創薬研究をはじめ、幅広い分野で「AI for Science」と呼ばれる新たな研究スタイルが広がりつつあります。

AIとは「Artificial Intelligence」、すなわち人工知能を意味します。その基盤には、大量のデータ、高度なアルゴリズム、それらを処理する計算資源があります。しかし、何を学習させ、何を問いとして与えるのかを決めるのは人間です。AIはあくまで人が設計し、人が使いこなす技術であるという点を、皆さんには忘れないでいてほしいと思います。

では、人間の知能とは何でしょうか。情報、知識、思考といった言葉がありますが、情報を理解し知識とし、それらを思考によって結び付け、活用できる状態が知能であると考えることができます。AIと人間の知能の違いを考えることは、AIが存在する社会において、人がどのように価値を発揮していくのかを考える上で重要です。
新しい課題に向き合い、これまでになかったものを生み出そうとするとき、人間は、明示的なデータだけでなく、経験に基づく直観や文脈理解といった暗黙知を活用します。こうした力は、単なるデータ処理や予測とは異なる、人間ならではの知的活動と言えるでしょう。

これからの時代には、基礎的な教養を土台としつつ、多様な経験を積むことが重要になります。実際の体験に加え、考え抜いた経験、試行錯誤を重ねた経験の蓄積が、個々の力の差となって表れていくはずです。生物生産学部では、教養ゼミ、初年次インターンシップ、附属施設を活用した実験・実習、演習、そして卒業論文研究を重視した教育を行ってきました。皆さんは、これらすべてを修了し、本日卒業の日を迎えています。この経験こそが、皆さんの大きな強みになると確信しています。

多くの卒業生は大学院へ進学し、さらに学びと研究を深めていきます。広島大学は、中国・四国地方を代表する総合研究大学として、各分野で先端的な研究に取り組んでいます。研究室での経験は、専門性だけでなく、人としての力を磨く貴重な機会となるでしょう。一方、4月から社会へ踏み出す皆さんには、これまでの経験を基盤に、新しい環境で多くを吸収し、それぞれの場で成長していくことを期待しています。

新しい環境では、自分一人では解決できない課題に直面することもあるでしょう。そのようなときには、家族や友人だけでなく、学部の先輩や後輩、研究室の仲間、指導教員など、大学で築いたつながりを思い出してください。それらは、皆さんにとって大切な財産です。卒業後も、皆さんは広島大学生物生産学部の一員であり続けます。ぜひ、折に触れて母校を訪れ、時には率直な意見もお寄せください。

結びに、改めて卒業生の皆さんのご卒業を心よりお祝い申し上げます。皆さんが、日本、そして世界の未来を支える知性ある人材として、それぞれの道で活躍されることを願い、学部長からの祝辞といたします。


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