姫島火山群のザクロ石が示す、流紋岩質マグマ形成への地殻物質の関与

本研究成果のポイント

〇大分県姫島火山群の流紋岩に含まれるザクロ石に着目し、顕微鏡観察とEPMAによる化学組成分析でその起源を検討した。

〇斜長石に富む鉱物集合体中にザクロ石と、変成岩に多く含まれる珪線石・ジルコンが共存すること、さらにザクロ石の高MnO・低CaO組成から、マグマ起源斑晶ではなく変成岩由来の捕獲結晶であることを示した。

〇本成果は、姫島火山群の流紋岩質マグマ形成に地殻物質が関与した可能性を示す鉱物学・地球化学的証拠であり、地殻物質の再溶融の影響が議論されている大陸地殻の形成・進化を考える手がかりとなる。

概  要

流紋岩質マグマは、一般に玄武岩質~安山岩質マグマの結晶分化作用によって形成されると考えられてきた。一方で、天然の火山岩にはその過程だけでは説明が難しい例もあり、地殻物質の関与をどのように見極めるかが重要な課題となっている。

本研究では、大分県国東半島沖に位置する姫島火山群(HVG)の流紋岩に含まれるザクロ石に着目した。ザクロ石は火山岩中では稀で、その産状や化学組成はマグマ形成の条件や地殻物質の関与を読み解く重要な手がかりとなる。たとえば地下深部でザクロ石ができて分かれる過程は、マグマの鉄の量や酸化状態を変え、島弧火山に特有の化学的特徴の形成に関わると考えられている。

よって、HVGのザクロ石等の鉱物観察および化学組成分析により、ザクロ石がマグマから直接晶出した斑晶か、地殻由来の捕獲結晶かを検討した。達磨山流紋岩と城山流紋岩のザクロ石は化学組成が類似しており、共通の成因をもつ可能性が高い。さらに城山流紋岩には、ザクロ石・珪線石・ジルコンを含む斜長石に富む集合体が認められた。珪線石やジルコンは変成岩を起源である可能性が高いことが知られている。

加えて、HVGのザクロ石の高MnO・低CaO組成は、マグマ起源よりも泥質変成岩起源を支持する。これらの結果から、HVG流紋岩中のザクロ石は泥質変成岩由来の捕獲結晶であり、流紋岩質マグマ形成に地殻物質が関与した可能性を示した。本成果は、地殻物質の再溶融という観点から、流紋岩質マグマの成因理解に加え、大陸地殻の形成・進化の理解にもつながる可能性が期待される。

 


【論文情報】

Hirayama, T., Yoshikawa, M., & Shibata, T. (2026). The origin of garnet in Quaternary rhyolites of the Hime-shima Volcanic Group, east Kyushu, southwest Japan Arc. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 241129L, https://doi.org/10.2465/jmps.241129L.


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