振動の「ゆらぎ」を捉え、振動を抑える精密制御 ━ 準周期外乱オブザーバの開発 ━

本研究成果のポイント

〇機械・電気システムの制御精度を悪化させる、ゆらぎのある振動(高調波)外乱の準周期性に着目

〇準周期外乱を推定・補償する準周期外乱オブザーバを開発

〇外乱抑圧感度(制御精度)の50%の改善に成功

概  要

 広島大学 大学院先進理工系科学研究科 機械工学プログラムの村松久圭准教授は、産業用ロボットなど、繰り返し運転を行う機械・電気システムに頻繁に現れ、その制御精度を悪化させる高調波(振動)外乱の問題に対し、ゆらぎを含む高調波を精密に観測・補償する制御アルゴリズム「準周期外乱オブザーバ」を開発しました。

  本研究は、外乱の準周期性に着目した点が世界的に稀有であり、準周期外乱を独自に定式化することで、高調波に含まれる「ゆらぎ」を捉えることに成功しました。そして、定式化された準周期外乱のモデルに基づき、準周期外乱を推定・補償する制御アルゴリズムを導出しました。

  準周期外乱オブザーバの特徴は、高調波のゆらぎに対して強い点にあります。従来技術では、高調波にゆらぎが生じた場合に性能が著しく悪化してしまう問題や、他の性能とのトレードオフが存在していました。これに対し、村松准教授が過去に開発した周期/非周期分離フィルタを活用し、フィルタを適切に設計することで、従来技術が直面していたトレードオフへブレイクスルーを果たしました。これが、高調波のゆらぎに対する強さの獲得につながりました。

 今後の展開として、高調波は機械および電気システムにおいて幅広く生じる問題であり、これら産業機器への実装と実用化を目指します。

論文情報

Hisayoshi Muramatsu, “Quasiperiodic Disturbance Observer for Wideband Harmonic Suppression,” IEEE Transactions on Control Systems Technology, vol. 33, no. 5, pp. 1895-1904, Sep. 2025, DOI:10.1109/TCST.2025.3566560.


up