Friedmann-Lemaître-Robertson-Walker時空における非線形波動方程式の解の爆発とライフスパンの評価

本研究成果のポイント

〇Friedmann-Lemaître-Robertson-Walker(FLRW)時空における非線形波動方程式の初期値問題について、小さい初期値に対する解の時間大域存在と非存在をわける臨界指数の導出および、臨界・劣臨界領域における解の有限時間爆発およびライフスパンの評価を示した。

〇微分型非線形項の場合や、de Sitter時空の場合についても対応する結果を得た。

〇最近の研究で、微分型非線形項の場合にエネルギー法によって時間大域解の存在を示す結果も得られた。

概  要

 非線形波動方程式は、水面の波や音波、電磁波など、空間内を伝わる波の伝播現象を記述する偏微分方程式であり、特に波が集中して特異性が発生するような現象の数理モデルとして研究されている。本研究では曲がった時空における非線形波動方程式の初期値問題に対する時間大域解の存在・非存在の問題を考える。この問題は2000年代から多く研究されているが、時空の膨張・収縮を表すFLRW時空の場合には特別な場合を除いてまとまった結果が得られていなかった。

 本研究では非線形波動方程式に対する加藤の補題とよばれる微分不等式の議論と、時間変数係数をもつ消散型波動方程式の解析手法を組み合わせることにより、臨界指数の導出および、臨界・劣臨界領域における解の有限時間爆発およびライフスパンの評価を得た。この研究により、減速膨張、加速膨張それぞれの場合について計量が臨界指数およびライフスパン評価に与える影響が明らかにされ、またMinkowski時空の場合と比較してFLRW時空ではより早い時間で解が爆発することが示された。

 また、微分型の非線形項に対しても対応する爆発とライフスパン評価の結果を示し、
さらに最近の研究ではエネルギー法による時間大域解の存在の結果も得られている。


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