薬効解析科学

森岡 徳光 教授

【研究キーワード】
中枢神経疾患、慢性疼痛、うつ病、精神疾患、グリア細胞(ミクログリア、アストロサイト)

【最近のハイライト】
1. 脊髄アストロサイトに発現するREV-ERBsが痛みの慢性化に対する有効な治療標的であることを発見(日刊工業新聞にて掲載、2019年2月12日)
2. 炎症性物質HMGB1が三叉神経ニューロパチーの発症に関わることを発見し、HMGB1を標的とした新規鎮痛薬を特許出願中
3. 慢性的な痛みで生じる、うつ・不安などの情動異常の発症メカニズムを解明

研究者総覧へのリンク

【教育内容】
薬理学は生体に対して薬物がどのような効果(薬理作用;主作用・副作用)を示すのか、そしてそれはどのような作用機序に基づくのかを学ぶ学問です。薬理学の講義・実習を通じて、薬物の作用機序に加えて病態治療への関わりについて学ぶことで、薬のプロフェッショナルとして必須の教養・知識を修得するだけではなく、臨床ニーズから創薬研究を着想できる専門的知識や実験技術を備えた薬剤師や、いまだ治療法が見つかっていない疾患の病態解明から新たな創薬へと展開できる研究者の育成を行っています。

【研究内容】
脳・脊髄から構成される中枢神経系は様々な高次機能を制御しており、これらの異常が神経変性疾患や精神疾患、慢性疼痛といった様々な病態を引き起こします。中枢神経系は主に神経細胞で構成されていますが、その他にもアストロサイトやミクログリアといったグリア細胞が存在します。私たちはグリア細胞の機能異常が慢性疼痛やうつ病、認知機能異常の発症に寄与していることに注目し、グリア細胞の異常がどのようにして病気の原因となるのかを、動物モデル、組織、細胞の3階層を横断的に解析することで明らかにし、新たな治療薬の開発へと発展させたいと考えています。

【図説明】 脊髄後角を介した痛覚伝達と慢性疼痛
慢性疼痛時には、脊髄後角内でミクログリアやアストロサイトが活性化が生じており、これが痛みの慢性化に関わっている。


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