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ひらめき☆ときめきサイエンス「生物の多様性を自分の遺伝子から実験、実感してみよう!」を開催しました



平成22年8月1日(日)、生物生産学部において、(独)日本学術振興会(JSPS)のサポートによる中学生・高校生のためのプログラム 『平成22年度ひらめき☆ときめきサイエンス−ようこそ大学の研究室へ−KAKENHI 』 の「生物の多様性を自分の遺伝子から実験、実感してみよう!」を開催しました。



以下、担当の西堀正英准教授の報告です。
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8月1日(日)、『平成22年度ひらめき☆ときめきサイエンス-ようこそ大学の研究室へ-KAKENHI 「生物の多様性を自分の遺伝子から実験、実感してみよう!」』 (JSPS日本学術振興会主催)を広島大学生物生産学部で開催いたしました。参加者は広島県、岡山県、鳥取県、山口県から高校生48名に加えて、中学生2名、小学生2名および保護者、高等学校の先生方で総勢約80名でした。午前9時の受付開始前から学部2階のロビー(広島大学博物館サテライト館)では水槽を泳ぐ魚以上に元気な参加者が集まってくれていました。


10時より、生物生産学部C206大講義室にて江坂宗春学部長の挨拶、日本学術振興会より九州大学教授・白石先生の「科研費とは?」というお話から『ひらめき☆ときめきサイエンス』が始まりました。プログラムの説明、本日お世話になる9名のTA大学院生、特別講演をしていただく生物生産学部副学部長の古澤修一教授のご挨拶に続いて、西堀が「サイエンスを始める前に、何をすべきなのか。豊かな発想から科学する目を養い、目指せサイエンティスト、プロフッショナル」と題してお話をしました。



講演では、まずサイエンスをはじめるためには、「科学する気持ち、姿勢およびその目(観察力)」が必要であり、そのために参加者全員、ニワトリの絵を描いて、いかに普段生物をじっくりよく見ていないか実感し、ニワトリの絵を描くと約5%の人が「4本足のニワトリ」を書くという実例を見ながら実感できる講義でした(今回の参加者の中には「4本足のニワトリ」が6羽(71人中)見られました)。


(学部長のあいさつ)


(西堀准教授の講演)


講義のあとは、C316実験室に移動し、早速、「お酒が飲めるのか飲まれるのか」を判定するための遺伝子(アセトアルデヒド脱水素酵素遺伝子:ALDH2)の検査の開始です。実験は同じ高等学校同士にならないように9つのグループ(TA9名)にわかれ、まずは自分たちの口腔粘膜細胞からDNAを採取する準備です。西堀から細胞とDNAについて簡単に説明を聞いた後、TAのみなさんの指導で自分自身の口腔内粘膜細胞の採取とその細胞からのDNAの抽出を行いました。このDNAをもとにひとりひとりがPCR(DNA合成酵素連鎖反応)によって、ALDH2遺伝子を2の37乗倍に増幅しました(約1時間)。


PCR増幅の間は、お楽しみのお弁当。生物生産学部とお弁当屋さんとのコラボ弁当「女子高校生スペシャル」と銘打たれたお弁当を江坂学部長、日本学術振興会・白石先生・松原さん、TAのみなさん、参加者のみなさんとともに、本日の講座のこと、生物生産学部のこと、大学生活のことなどを話のネタに和気藹々の時間が過ぎていきました。


(実験の様子)


(お弁当タイム)


午後は、古澤修一教授の「生物の多様性・自己と非自己を担う免疫の不思議とは」の講義を聴きました。

講義の後は、PCR産物を電気泳動でタイピングです。お酒が飲める遺伝子、お酒に飲まれる遺伝子をタイピングします。マイクロピペットもうまく扱えるようになり、ゲルへのローディングも手馴れ、20分間電気泳動。その間に、アルコールパッチテストでアルコールに対する反応を確かめました。アルコール綿を貼って、7分後には真っ赤になる参加者もいました。TAの一人、サッカー部の宮本君はクラブで日焼けした真っ黒の肌がアルコールの影響で真っ赤になり、参加者はスポーツマンとアルコール耐性とは違うものなんだと実感、認識しました。20分後には電気泳動写真を撮って、TAの学生とアルコールパッチテストと電気泳動の結果の検討が始まりました。お父さんはお酒が飲める遺伝子のみ、お母さんはお酒が飲めない遺伝子(お酒に飲まれる遺伝子)のみ、私の遺伝子は、・・・両方でている!。アルコールパッチテストではアルコール綿を取ってからじわじわと赤くなり、表現型と遺伝子型の結果も一致し、感動の結果が得られました。


(実験の様子)


(全員で記念撮影)


会場を第一会議室に移し、もうひとつの楽しみである「クッキータイム」です。

西堀が選んだ選りすぐりのお菓子で、さらに話に花が咲き、そのまま全体討論に。結果をPower Pointで見ながら、各班ごとに結果の解説、議論さらには実験の感想や来年もやってほしい!などの意見も飛び出しました。うまく結果がえられたグループ、きれいに判定できなかったグループなどがありました。サイエンスには成功も失敗もあり、それについて如何に議論し、その次に繋げることを見出すことがサイエンスのおもしろさであることも実感できました。
時間もあっという間に1時間もオーバーしてしましましたが、最後に、古澤副学部長から参加者全員に修了証書「未来博士号」が手渡され、全員で記念写真をとって、楽しく実感できた「ひらめき☆ときめきサイエンス」の1日が過ぎていきました。西に傾いた太陽をみながら、将来のサイエンティストを夢見て、みんな帰途に着きました。
主催者、参加者のみなさん、ありがとうございました。
(報告者)
ひらめき☆ときめきサイエンス実施責任者
生物生産学部准教授 西堀 正英
nishibo@hiroshima-u.ac.jp (@は半角に変換してください)


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