令和4年度学位記授与式を行いました

2023年3月23日、令和4年度広島大学学位記授与式が行われ、生物生産学部生101名が卒業しました。

午後からは、4年ぶりに学部全体での学位記授与式を行い、授与式終了後には、各プログラム毎に屋外で記念撮影を行いました。

水圏統合科学プログラム

食品科学プログラム

応用動植物科学プログラム

分子農学生命科学プログラム

国際生物生産学プログラム

学部長メッセージ

2022年度 卒業証書授与式 お祝いの言葉

広島大学 生物生産学部 学部長 島田昌之

みなさん、卒業おめでとうございます。
生物生産学部を代表して、お祝いの言葉を述べさせていただきます。

みなさんは、卒業基準である124単位以上を取得し、今日、広島大学の生物生産学部から、学士(農学)を授与されました。この124単位は、一人一人、その構成が違っていますし、その1単位、1単位への思いも違うことと思います。そして、皆さんの世代は、大学生活の途中で、突然のコロナ禍となり、オンライン授業へ移行し、なかなか同級生に会えない状況となり、就職活動では「学生時代に力を入れたこと“ガクチカ”」がない世代となるなど、入学前のイメージとは大きく異なってしまった人も多いのではないでしょうか?しかし、どんな状況の中でも、成し遂げたこと、経験したことには意味がある、将来の何かに続いていくものだと思います。大学生活の1日1日、授業の1つ1つを振り返って、自分しか体験できなかった貴重なことだと思い返し、今後に生かしてもらいたいと思います。

この自分しか体験できなかったこと、というのが、皆さん、一人ひとりの特性になると思います。そして、この特性は、経済用語でいうと付加価値です。日本は、国際経営開発研究所が作成する「世界競争力年鑑」において、国際競争力が34位となっています。30年前には、1位だったのが、急激に低下しているのですが、その要因として、「生産性の低さ」があげられています。時間当たりの生産性が低いということは、労働者が、同じ時間当たりで、付加価値の高い生産ができていない、ということです。
最近、「コスパ重視」ということをよく聞きます。例えば、オンデマンド配信の講義を2倍速で聞くことで、時間を無駄にしていない、節約した、ということを指すようですが、コスパ重視が生産性の高さ、ではない、ということを、社会に出る前に認識してもらいたいと思います。例えば、1時間の講義を30分で聞き終えて、出席になった。これは、時短=コスパが良い、でしょうか?もし、内容を理解できていなければ、その30分は、何も得ていない無駄な時間になります。それでは、30分に短縮して、100%理解したのであれば、よいでしょうか?それは、ただ理解した。平均的な生産性にすぎません。もし、余裕を持った1時間で理解だけでなく、さらに何かを考え出すことができれば、プラスαを生産したことになり、この1時間は生産性の高い1時間になるわけです。

皆さんが、卒業のための取得した124単位以上の中で、どれだけ多くを自分自身の能力向上=付加価値をつけることになったでしょうか?満足感を得た=印象に残っている授業や実習、卒論研究から得たものがあるということは、すなわち、高い生産性を持った人材であるということです。経験は無駄になるものはなく、自身の力になる、ということを忘れずに、今後の社会人としての生活、あるいは大学院での学生生活を充実したものとしてください。

広島大学の大学院へ進学する方々は、4月からも一緒に学んでいきますが、就職する方々、他大学の大学院へ進学する方々、就職の準備や各種資格試験に向けて勉強する方々は、今日でお別れとなります。私の指導学生が、卒業論文を書いているとき、参考にするため10年以上前の先輩の卒論を読んでいるのを見て、
「●●さんのだね。彼女は、卒論を非常に熱心に取り組んで、今、xxで、働いているよ。」
という話をしたら、
「たくさん学生がいるのに、ちゃんと覚えているんですね。」
とびっくりされました。卒業後時間がたっても、卒業生の皆さんが指導教員を覚えてくれているように、私たちも卒業生のことを覚えています。そして、卒業生の皆さんが、近況を聞かせてくれたり、リクルートに来てくれたりという接点を大事にしています。何かに成功した、何か転機が訪れた、辛いことがあった、良いことでも悪いことでも、我々に相談できることがあれば、いつでも母校に帰ってきてください。そして、より良い母校にするために、時には厳しい意見を言ってくださればと思います。

最後になりますが、皆さん卒業おめでとうございます。皆さんの門出を祝し、日本の未来を支える人材として、各方面で活躍されることを祈念して、学部長のお祝いの言葉とさせていただきます。


up