• ホームHome
  • 生物生産学部
  • 【論文公開】応用動植物科学プログラムの新居隆浩助教の論文が公開されました

【論文公開】応用動植物科学プログラムの新居隆浩助教の論文が公開されました

Lactobacillus johnsoniiの経腟投与が産卵鶏の卵管粘膜細菌叢と粘膜バリア機能に及ぼす効果

本研究成果のポイント

  • 乳酸菌の一種であるLactobacillus johnsoniiを、ニワトリの卵管膣部から注入することで卵管粘膜に存在する有用細菌が増加し、病原菌が減少することを明らかにした。
  • この処理により、卵管膨大部と膣部で粘膜バリア機能に関与するclaudin 1および3の遺伝子発現が増強した。
  • 一方で、卵管膨大部、子宮部、膣部粘膜で抗菌物質の一種であるトリβ-ディフェンシン(AvBD)10、11、および12の遺伝子発現が減少した。

研究成果の内容

鳥類の卵管は消化管と共に総排泄腔に開口しているため、卵管粘膜は腸管内容物中の病原微生物にさらされ易いです。そのため、卵管の粘膜バリア機能を強化することは安全な鶏卵・鶏肉生産にとって重要です。これまでに乳酸菌がニワトリの腸管粘膜バリア機能を強化することは知られていましたが、卵管粘膜のバリア機能に与える影響は不明でした。そこで本研究では、乳酸菌の一種であるLactobacillus johnsoniiを直接卵管膣部に投与して、卵管粘膜バリア機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的としました。

白色レグホン産卵鶏(500日齢)の卵管膣部にL. johnsonii懸濁液(実験区)または細菌なし(対照区)を7日間膣内投与しました(n=6)。その結果、L. johnsoniiの膣内投与は、①膣部粘膜中の有用細菌の割合の増加と病原微生物の減少、②卵管膨大部および膣部粘膜のclaudin-1および3の遺伝子発現の増加、および③膨大部、子宮部、膣部粘膜のトリβ-ディフェンシン(AvBD)10、11、および12の遺伝子発現の減少をもたらしました。

これらの結果は、産卵鶏へL. johnsoniiを経膣的投与が、卵管粘膜の微生物叢を改善し、claudinによる機械的バリア機能を強化することで、卵管内の病原微生物感染からの防御に寄与できることを示唆しています。その一方で、乳酸菌の経膣的投与は、卵管でのAvBDを介したバリア機能強化には寄与しないことも明らかになりました。

論文情報

  • 掲載誌: Poultry Science
  • 論文タイトル: Intravaginal injection of Lactobacillus johnsonii may modulates oviductal microbiota and mucosal barrier function of laying hens
  • 著者名:T. Nii, T. Shinkoda, N. Isobe and Y. Yoshimura
  • DOI:  org/10.1016/j.psj.2023.102699
【お問い合わせ】

広島大学 生物生産学部 新居 隆浩 
E-mail:tanii*hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)


up