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【論文公開】食品科学プログラムの中山達哉准教授らの論文が公開されました

ベトナム産食用河川魚を汚染するエロモナス菌の薬剤耐性機構の解明

本研究成果のポイント

  • ベトナム産食用河川魚に食中毒菌であるエロモナス菌が付着していた。
  • エロモナス菌はカルバペネム耐性を獲得していた。
  • カルバペネム耐性遺伝子は染色体上にコードされていた。

研究成果

抗生物質耐性菌の蔓延は世界的な問題であり、特に食品を汚染する食中毒耐性菌はヒトに害を及ぼすとともに、腸内細菌の薬剤耐性獲得へとつながることからも注意が必要とされています。本研究ではベトナム産河川魚を対象に、食中毒菌であるエロモナス菌の検出および薬剤耐性化を調べるとともに、薬剤耐性機構の解明を試みました。

ベトナム ホーチミン市の市場で河川魚を購入し、エロモナス菌の分離・検出を行った結果、4割の河川魚からエロモナス菌が分離されました。分離菌株の薬剤耐性遺伝子解析の結果、エロモナス菌から、世界保健機関が最も要注意としているカルバペネマーゼを産生するカルバペネム耐性遺伝子blaNDM -1および基質特異性拡張型βラクタマーゼを産生する第三世代セファロスポリン耐性遺伝子blaCTX -M-55blaCTX -M-15blaCTX-M -1が検出されました。また、全ゲノム解析結果からエロモナス菌から検出されたblaNDM -1は染色体上にコードされていることが明らかとなりました。この結果は、blaNDM遺伝子がエロモナス菌によって安定的に保持されており、エロモナス菌を介して動物やヒトに広く拡散する可能性が示唆されました。

本研究は科研費・国際共同研究強化(B)の支援により実施されました。

ベトナム産河川魚から分離されたエロモナス5株のblaNDM-1(NDM-1)遺伝子コード領域の比較図

論文情報

  • 掲載誌: Marine Pollution Bulletin
  • 論文タイトル: Detection of chromosome-mediated blaNDM-1-carrying Aeromonas spp. in the intestinal contents of fresh water river fish in Ho Chi Minh City, Vietnam
  • 著者名: Takahiro Yamaguchi, Masaharu Yokota, Michio Jinnai, Doan Tran Nguyen Minh,
    Oanh Nguyen Hoang, Hien Le Thi, Phong Ngo Thanh, Phuong Hoang Hoai,
    Phuc Nguyen Do, Chinh Dang Van, Daisuke Motooka, Shota Nakamura, Ryuji Kawahara,
    Yuko Kumeda, Atsushi Hase, Tatsuya Nakayama 
  • DOI:  https://doi.org/10.1016/j.marpolbul.2023.115812
【お問い合わせ】

広島大学 生物生産学部 中山 達哉
E-mail:t-nakayama*hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)


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