総合型選抜 フェニックス型

金川 誠さん

分子農学生命科学プログラム 3年次生(2023年度) 

広島県呉市出身。長崎大学大学院水産学研究科を修了後、広島市の食品会社に就職し、定年まで勤め上げる。退職後の2021年に広島大学生物生産学部の総合型選抜(フェニックス型)を受験し、合格。現在、分子農学生命科学プログラムの3年次生。

「総合型選抜(フェニックス型)」を利用して生物生産学部を志望した理由について

会社員時代は日々の仕事に追われ、定年退職後についてはぼんやりとしか考えていませんでしたが、50代後半になったころから真剣に考えるようになりました。そんな時、中国新聞で中高年者対象の入学試験「総合型選抜(フェニックス型)」についての記事を見て、大学進学という選択肢があることを知りました。
会社員時代は、研究開発、製造、品質保証などを担当していたため、バイオ関連の科学技術を知る機会はありましたが、約40年前に大学で学んだ頃には知り得なかった新たな手法や、最新の研究機器を使った実験を体験したいと考えるようになりました。そして、人生のステージが変わる退職のタイミングで、大学進学にチャレンジすることにしました。

生物生産学部に入学してみて

生物生産学部には農場、水産実験所、練習船、食品工場等の教育附属施設が充実しており、これらを利用した学びは、これまでの仕事の中では出会えなかった機会であり、恵まれていると感じています。

入学してすぐの講義では、それまで高校で学んでいた周りの学生に対して、約40年前の知識で挑んだ私とはギャップがあり戸惑いを感じたことはありましたが、2年次以降の講義科目は基礎とつながりを持って受講できたため、このような戸惑いはありませんでした。

講義は学生の知識レベルを想定して、それぞれの先生方が各分野の入口を学びやすいように配慮してくださっていると感じます。「生物生産学入門」、「生物生産リサーチフロント」は、毎回先生方が持ち回りで実施されるので、幅広く知ることのできる機会でした。私は分子農学生命科学プログラムに所属していますが、「生命物質分析学」等の講義で実験の概要や研究につながる基礎技術を知ることができました。これから本格的に卒業研究に取り組むことになるので、体験したかった実験や実習をするのが楽しみです。

PBL型実験実習での様子

「総合型選抜(フェニックス型)」の受験を考えている方へ

畜産、植物生産、水産、食料生産、微生物利用、食品についての学びを得たいと考える中高年の方には、生物生産学部へ進学できる「総合型選抜(フェニックス型)」はチャンスと考えます。この制度を利用して入学した方のそれまでの職業や経緯は、皆さんさまざまです。学んでみよう、やってみようと考えて進学され、専門の学びを進めていらっしゃいます。

若い学生の皆さんに交じって学ぶことに、戸惑うことはあると思います。若者と支障なくコミュニケーションができるだろうか。世代のギャップはないだろうか。大勢の学生の中で気後れしてしまうのではないか。不安を口にするときりがありません。私は61歳で進学しましたが、通学を始める前に家族に相談しました。「若者にはそれぞれの大学生活がある。彼らとほどほどの距離を保ち『うざくない おじさん』として普通に過ごせば大丈夫」との長女からのアドバイスは、その通りだと実感しています。

手探りでチャレンジだらけの大学進学でしたが、「総合型選抜(フェニックス型)」で入学し、新たな学びを得たことは、何ものにも代え難い経験です。


up