第17回 飯沼昌隆助教

最近の休日

飯沼 昌隆 助教

私の最近の休日は、“しろいくま”を起こすことから始まる。
“しろいくま”は、時に“雪見大福”になり、時に“綿あめ”と周囲から呼ばれる。
何のことかさっぱり分からないだろうが、最後の写真を見れば理解していただけると思う。

さて話を戻して、“しろいくま”の名はカールという。
2歳になる男の子である。
以下、カールを彼と呼ぶ。
彼は朝にめっぽう弱い。
朝ごはんが用意されるまでは、起きるつもりはないらしい。
しかし彼は食いしん坊である。妻がカチャカチャと朝ごはんの用意を始めると一生懸命ほふく前進を繰り返しながら、なんとかキッチンまでたどり着いて力尽きる。
朝ごはんの準備が整うと突然動きが機敏になる。
休日のごはんの担当は私だ。
彼も分かっていて、私の行動と言動に集中してくれる。
朝ごはんを済ませると、近くの海の見える公園まで車で移動だ。
ここにくる友達は、長年のつきあいがあるかのように仲良しだから、彼は大喜びで走り回る。

さて、そろそろ種を明かせば、彼とは世間一般的にビションフリーゼという犬種の犬である。
犬とは不思議な動物だと思うことは多々ある。
例えば、ふとした時にその場にいる全員が同じ反応をすることがある。
全力で走っていた者も、匂いを嗅ぐことに集中していた者も、一斉に同じ方向を見つめ、誰かが走り始めると、それを先頭に皆が続く。
この場合、大抵、新しい犬が公園に入ってきたときにする行動である。
が、しかし、この一連の行動についていけない、いかない犬もある。
我が家の犬である。
一足遅れるなんてものじゃない、皆が落ち着いたころ、全員が走り去った後に
なにかあったのか?異変に気付く。
それが良いことなのか悪いことなのか置いておくにしても、マイペースで鈍感なのである。

そう言えば物質を構成するミクロの世界の粒子(量子)にも二種類あった。
近くにいる粒子との集団行動を好む粒子(ボゾン)と、全く正反対の行動を取りたがるマイペースな粒子(フェルミオン)である。
ボゾンの代表例が光の最小単位の光子であり、フェルミオンの代表例が中学校で習った電子である。

そうか、犬にも二種類あるのだ。カールはさしずめフェルミオン、他の犬たちはボゾンといったところか。

私は、どちらのタイプだろうか。

いずれにしても、妻は
“犬も人も愛嬌よ”
と冷ややかに応えるだろう。

飯沼カール君1
カール君

(2018年2月6日掲載)


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