広島大学工学同窓会会長 羽山 信宏さん

日本のものづくりは世界一を保ち続けられるか~標準化、効率化の追求から新しい価値の創造へ~

広島大学工学同窓会会長
元マツダ取締役専務執行役員
羽山 信宏 さん
広島大学大学院 工学研究科 修士課程 精密工学専攻
1974年修了
指導教員 桑原 改造 教授
広島大学付属高等学校 出身

大学院を修了後、マツダに入社、40年近くパワートレイン(エンジン、トランスミッション)の開発に携わってきました。マツダを退任後、現在は関東、中部、関西の数社の技術アドバイザーをしています。いずれの企業も現在の業績はとても良いのですが、将来に向けて大きな危機感を持っているようです。

1970年代から、日本の企業は標準化、専業化を取り入れ生産効率を追求してきました。企業間の競争も性能競争だけでなく、効率競争も激しくその結果、性能で見ても、効率で見ても世界一の実力を持っているのが現在の日本のものづくりです。
では、なぜ多くの企業が将来に対して危機感を持っているのでしょうか。

性能競争、効率化だけでは世界で戦い続けられないとわかってきたからです。誰から見てもそれは世界一だ、みんなにとって役立つ新しい価値だ、といわれる価値創造が思うように生み出せていないことがその一つの要因ではないでしょうか。
自分達が相手にしている商品、それを支えている技術を、改めて原理、原則に立ち返って見直してみること、標準、基準を尊重しつつ、その裏にある原理、原則を理解し、そこから新しい価値を創造するための発想が今こそ求められていると思います。

学生諸君の基本原理を追求する姿勢の中から、新しい価値創造への道がひらかれることを期待しています。

 


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