元 常石集団(舟山)造船有限公司 董事長 佐藤 俊夫さん

座右の銘 "誠心誠意真剣勝負"

佐藤さん

 

元 常石集団(舟山)造船有限公司
董事長

佐藤 俊夫さん

広島大学工学部船舶工学科 1975年度卒業

広島県立三次高等学校 出身

 私は1975年船舶工学を卒業し常石造船に技術者の卵として入社しました。それが9か月後、来社していた外国人監督に不用意に発した“Good Morning”の一言で人生が変わることになるのです。当時常石造船では海外営業ができそうな若手を探しており工場長の推薦で造船営業部に配置転換になりました。以降25年にわたり海外営業を担当することになるのです。1998~99年にはロンドン駐在を経験し欧州ビジネスはすべて契約で成り立ち下手をするとすぐさま訴訟になることを知りました。普段はみなさん友好的ですがいったん何か起こると非常に厳しいため緊張感をもって仕事にあたる必要がありました。

 2008年~2015年の間の約8年間、中国浙江省舟山市の離れ小島、岱山県秀山郷に所在する常石集団(舟山)造船有限公司(5~6千人規模の造船所)へ駐在することとなりました。その間2011年~2014年は総経理(社長)を務めました。欧州ビジネスに精通した私が政治経済の仕組みを異にする中国でやっていけるのか大変不安な毎日でした。中国で大切なものは面子(メンツ)であり友好関係(老朋友、ラオポンユー)だといわれていました。

 2012年は尖閣諸島問題で両国間の関係は非常に緊張状態にあり日本人従業員の安全管理には相当留意する必要がある時期でもありました。

 中国でうまくやっていくために一つのヒントになったのが俳優高倉健(故人)の人気でした。私の知る限り中国人で高倉健を知らない人はいません。その秘密は高倉健が主演した中国雲南省を舞台に父と子のつながりを描いた中国・日本合作映画“単騎、千里を走る”(2005年公開)にあるようです。この映画を見た多くの中国人が涙したそうです。この映画での高倉健の生きざまが純朴な中国人の心を捉えたのです。冒頭に掲げた座右の銘“誠心誠意真剣勝負”に通ずるものがあると思います。ビジネスは会社対会社の取引である反面、個人と個人の信頼関係で成り立っています。いかに人の心をつかみ動かすことができるかが勝負です。

 この精神は中国のみならず欧州ビジネスでも通じるものがあったのかなと思い返しています。


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