私は現在、デルタ工業株式会社に勤めています。デルタ工業は、主に自動車用シートの開発設計・製造・販売を行う会社です。その中でも私は、ディバイス開発部に所属しており、シートポジションを調節する機構部品の設計に携わっています。
　設計の仕事と言えばずっと図面を描いているイメージが強いかもしれませんが、図面を描くための机上検討や、試作品での実機検証に多くの時間を費やしています。机上検討の中では大学で学んだ知識が必要になることも多々あり、教科書の中に製品の問題解決の糸口になることが書いてあったこともあります。
　検討・検証を重ねることで、図面上の線や数字が、意味のある形状や寸法になり、様々な積み重ねの上に出来上がった製品が、検証通り作動した時の達成感は大きいです。

　子供のころからメカ的なものに興味がり、「ものづくり」に関わることがしたいという漠然とした考えから工学部第一類に進学しました。研究室では、ステンレス鋼の加工誘起変態に関する研究に携わっていました。研究内容が直接今の業務につながっているわけではありませんが、その基礎となった力学等の知識や、問題解決への考え方は、大学時代に培われたものが役立っていると思います。
　また、学生生活では、フォークソング部(軽音楽部)に所属し、バンド活動に明け暮れる日々を送っていました。そこで得た経験や友人たちが、今でも自分の支えになっています。　

　今になって思うのですが、大学時代ほど時間的余裕がある時期はありませんでした。言うまでもなく日々の勉強、研究は大事ですが、部活動やサークル活動、アルバイト、趣味、旅行など、様々なことをとことんまでやって自分の世界を広げ、目指したい道を見極めて欲しいと思います。