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【研究成果】史上初、宇宙ニュートリノとγ線によるニュートリノ放射源天体の同定に成功

(7/20 14:00~)
千葉大学が主催で、文部科学記者会において、本研究成果の合同記者発表会を開催します。
合同記者発表会はネット上にて生中継されます。
詳細はこちら

本研究成果のポイント

  • 宇宙ニュートリノの到来方向に、強いγ(ガンマ)線放射天体TXS0506+056を観測し、γ線天体が宇宙ニュートリノとその親粒子である宇宙線を放射していることを史上初めて明らかにしました。
  • これまで謎であった宇宙ニュートリノ放射源天体同定を目指し、検出された宇宙ニュートリノの到来方向等の情報を元に、世界中の観測施設が追観測を行う「マルチメッセンジャー観測」の結果、今回の観測に初成功しました。
  • さらに過去のIceCube観測データを再解析した結果、この同じ天体の方向からの多くのニュートリノ事象を確認し、この天体が高エネルギーニュートリノ放射天体であることを独立に検証しました。
  • これらの成果は、以下2編の論文としてScience誌に掲載されました。
    "Multi-messengerobservationsofaflaringblazarcoincidentwithhigh-energyneutrinoIceCube-170922A"
    "NeutrinoemissionfromthedirectionoftheblazarTXS0506+056priortotheIceCube-170922Aalert"

概要

南極点アムンゼン・スコット基地で行われているニュートリノ観測実験IceCube(アイスキューブ)*1により、昨年9月に宇宙ニュートリノ事象「IceCube-170922A」(図1)が検出され、その到来情報を元に追観測を行ってきました。その結果、巨大ブラックホールを持ち非常に強いγ線を放つブレーザー天体*2TXS0506+056を確認し、この天体がニュートリノの放射源天体であるという証拠を世界で初めてつきとめました。

*1: IceCube(アイスキューブ) 世界最大のニュートリノ観測実験で、世界12ヵ国49の研究機関による国際共同プロジェクト。千葉大学グループは、日本からは唯一の正式メンバー。

*2: ブレーザー天体中心にある超巨大ブラックホールをエネルギー源として強烈に輝く銀河「活動銀河核」の一種。中心核から光速で飛び出すジェットを持ち、そのジェットをほぼ正面から観測した天体。γ線放射天体の中でブレーザー天体が最も多くの数を占めることが確認されているが、宇宙線となる高エネルギー粒子のジェット内での加速機構などは正確に分かっておらず、その謎は多い。

2017年9月23日(日本時間)に検出されたニュートリノ事象IceCube170922A。
水平にIceCube検出容積内を突き抜けるトラック型で、到来方向が分かりやすいなど好条件で検出された。

この研究は、日本学術振興会による特別推進研究・基盤研究(S)などの科学研究費補助金の支援をいただいて推進しています。

またこの成果は、科学的に極めて重要な達成であるため、正式な公表と記者会見が米国自然科学財団(NSF)本部にて行われました。

論文情報

  • 掲載誌: Science  (12 July 2018)
  • 論文タイトル: Multi-messenger observations of a flaring blazar coincident with high-energy neutrino IceCube-170922A
  • 著者: The IceCube Collaboration, Fermi-LAT, MAGIC, Kanata, Kiso teams et al.
  • DOI: 10.1126/science.aat1378

 

  • 掲載誌: Science (12 July 2018)
  • 論文タイトル: Neutrino emission from the direction of the blazar TXS 0506+056 prior to the IceCube-170922A alert
  • 著者: IceCube Collaboration
  • DOI: 10.1126/science.aat2890
【お問い合わせ先】

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(報道に関するお問い合わせ)
千葉大学企画総務部渉外企画課広報室
TEL: 043-290-2018
E-mail: bag2018*office.chiba-u.jp

(ニュートリノ観測研究内容及び今回の成果全般に関するお問い合わせ)
千葉大学ハドロン宇宙国際研究センター
吉田滋
TEL: 043-290-3683
E-mail: syoshida*hepburn.s.chiba-u.ac.jp

石原安野
TEL: 043-290-2760 
E-mail: aya*hepburn.s.chiba-u.ac.jp

(Fermi衛星によるγ線観測の詳細に関するお問い合わせ)
広島大学宇宙科学センター
深沢泰司
TEL: 070-6665-4925
E-mail: fukazawa*astro.hiroshima-u.ac.jp

(かなた望遠鏡などによる可視光観測の詳細に関するお問い合わせ)
広島大学宇宙科学センター
川端弘治
TEL: 082-424-7371
E-mail: kawabtkj*hiroshima-u.ac.jp


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