病院薬剤学

松尾 裕彰 教授

【研究キーワード】
薬の適正使用、TDM、血管外漏出、食物アレルギー、薬剤アレルギー、医療情報

【最近のハイライト】
 食後の運動やアスピリンなどの非ステロイド系抗炎症薬の服用が、消化管からの食物抗原の吸収量を増加させ、食物アレルギー症状を増強することを明らかにしました。このことから、消化管における抗原吸収を上昇させる作用を持つ薬物の服用が、食物抗原に対するアレルギーを助長していると考えられます。そこで、食物アレルギーラットモデルを用いて薬剤の服用がタンパク質の消化管吸収や食物アレルギーの発症にどのように関わっているかを明らかにする研究を行いました。その結果、プロスタグランジン製剤やクロモグリク酸ナトリウムの服用がアスピリンによる消化菅からの抗原吸収の増加ならびにアレルギー症状の惹起を抑制することが示されました。

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【教育内容】
 薬剤師が主体的に薬物治療に参加するためには、薬学の知識に加えて、課題発見、情報収集、判断、行動、思考能力といった問題提起・解決能力が必要です。
 学部教育では、薬学部6年制教育における講義(医療薬学,臨床医学概論)、および、11週間の病院実務実習を担当しています。実習では臨床現場の体験、薬剤業務や症例に関するグループディスカッションおよびプレゼンテーションを通して、様々な課題に向き合うことで、医療・保健・福祉・教育を担う指導的薬剤師の育成を目指しています。
 大学院教育では、先進医療・先端薬学研究の発展に貢献するため、臨床における医薬品の安全かつ適正使用につながる研究テーマを実施しています。

【研究内容】
抗がん剤のTDMによる適正使用
抗パーキンソン病薬に関する研究
薬剤の血管外漏出に関する研究
疼痛治療薬のPK・PDに関する研究
インスリン分泌に及ぼす各種薬物の影響
食物アレルギー発症に及ぼす薬物の影響
薬剤アレルギーの起因薬同定に関する研究
医薬品情報に基づく薬物適正使用に関する研究

【写真説明】 Therapeutic Drug Monitoring(TDM)を用いた処方設計


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