還元水あめで作った低糖グミの食感を予測・制御する

本研究成果のポイント

  • グミの食感はグミのガラス転移温度と相関することが明らかになった
  • グミのガラス転移温度は配合した還元水あめのガラス転移温度から予測可能であった
  • 還元水あめのガラス転移温度は糖アルコール組成から予測可能であった

研究成果の内容

還元水あめはデンプンを加水分解して作った水あめを還元して得られるものであり、様々な分子量の糖アルコールが混在した状態にあります。食品素材として利用される還元水あめには糖アルコールの組成や割合を変えた様々なタイプのものがあり、用途に応じて使い分けられています。例えば、還元水あめは低糖グミに使用されており、配合する還元水あめの種類によって、食感が大きく変化することが知られています。しかし、還元水あめの選定は担当者の経験によって行われており、担当者や原料を変えざるを得なくなった場合や新たな食感のグミを開発することになった場合、方針を決めるための根拠に乏しく、開発費用や時間などの負担が大きいという問題がありました。

本研究ではグミのガラス転移温度に注目し、グミの食感とガラス転移温度との関係を明らかにしました。また、グミのガラス転移温度はグミに配合した還元水あめのガラス転移温度によって予測可能なことを示しました。更に、還元水あめのガラス転移温度は還元水あめを構成する糖アルコール組成から予測可能なことを示しました。還元水あめの糖アルコール組成は品質管理の一環として収集・記録されています。この情報を下に、最終的にはグミの食感を、実験をすることなく計算によって求める(予測する)ことが可能になりました。

今後は、同様のアプローチがグミ以外の糖質食品にも適用可能かどうかを確認していく予定です。

論文情報

  • 掲載誌: Food Hydrocolloids
  • 論文タイトル: Prediction and control of glass transition temperature for hydrogenated starch hydrolysates and its impact on the texture modification of gummy
  • 著者名: Yuichi Kashiwakura, Tomochika Sogabe, Yuri Hiyama, Natsuki Arakawa, Tadashi Fujii, Takumi Tochio, Kiyoshi Kawai
  • DOI: https://doi.org/10.1016/j.foodhyd.2021.107467
【お問い合わせ】

広島大学 生物生産学部 川井 清司
Tel:082-424-4366 FAX:082-424-4366
E-mail:kawai*hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)

掲載日:2023年1月4日


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