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【論文公開】水圏統合科学プログラムの加藤亜記准教授らの論文が公開されました

石灰藻「ヒライボ」のスリランカで記載された品種の再検討により独立種を確認

本研究成果のポイント

  • ヒライボ(Lithophyllum okamurae)は、体に炭酸カルシウムを固く沈着する紅藻サンゴモ類の1種です。
  • ヒライボは、インド太平洋地域から記載された7つの品種を含んでいました。
  • 本研究により、ヒライボの7つの品種は、2品種が典型的なヒライボで、残りはすべて別種であることが明らかになりました。

研究成果の内容

生物は、おおむね種を基準に認識されます。種は、基準となるタイプ標本をもとに定義され、タイプ標本は公的な標本庫に永久に保管されます。しかし、種は、地理的な分布域や形が少し異なる複数のグループを含んでいます。こうしたグループをその種の典型的なグループと区別するために、種のより下のランクの分類群が設立されることがあります。種と同様に、種内分類群にも、それぞれの分類群の基準となるタイプ標本があります。本研究のヒライボでは、インド太平洋地域から、典型的なヒライボを含む7つの品種が記載されていました。品種は、亜種や変種より軽微な形態的変異により区別されます。

本研究では、スリランカから記載された2品種について、タイプ標本の分子系統解析および形態的特徴による分類学的再検討を行い、それぞれヒライボとは別種であることを明らかにしました。本研究と著者ら他の先行研究により、ヒライボの7品種から6種が確認されました。このうち、日本沿岸にはヒライボのみが分布しています。

白亜紀に起源をもち、世界中に分布している紅藻サンゴモの多様性や進化の理解のため、今後も、太平洋西岸を中心にサンゴモの様々な分類群の新たな特徴を見つけていきたいと考えています。

Lithophyllum trincomaliense (Foslie) A. Kato & M. Baba
図3 正基準標本コレクションの1標本
図4 丸い先端を持つよく発達した枝。スケールバーは2cm(図3の側面から撮影)

Lithophyllum validum (Foslie) Foslie 
図12 正基準標本コレクションの1標本
図13 扁平な先端を持つよく発達した枝。スケールバーは2cm(図12の側面から撮影)

論文情報

  • 掲載誌: Phycologia 61: 669-678 (2022)
  • 論文タイトル: Confirmation of Lithophyllum trincomaliense comb. & stat. nov. and of L. validum (Corallinales、Rhodophyta) as distinct species based on genetic and morpho-anatomical analyses of type material
  • 著者名: Aki Kato, Narongrit Muangmai & Masasuke Baba
  • DOI:  10.1080/00318884.2022.2128572
【お問い合わせ】

広島大学 生物生産学部 加藤 亜記
Tel:0846-24-6781
E-mail:katoa*hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)


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