研究科長・学部長メッセージ

文学部への招待

文学部長  久保田 啓一

文学研究科長・文学部長

久保田 啓一
(日本文学語学)

「文」を学ぶこと

 皆さんにまず質問させてください。「文学部」とは何を学ぶところでしょう。「文学」=literatureを学ぶのでしょうか。勿論それも含まれますが、端的には「文」について学ぶところの意味と考えてください。では、「文」とは何か。「文」という漢字の原義は、模様、飾りのことです。その意味が拡充して、文字、文章、書物、学問などを象徴することばとなりました。人間が人間としてよりよく生きるために身につけるもの、それは即ち学問、教養、文化、芸術などですが、それらを総合的に把握することばが「文」であるといってよいと思います。文学部では、およそ人間のかかわる文化すべてを対象として学ぶことができるのです。

 文学部に進みたいと思っておられる方は、おそらく高等学校で国語・英語・地歴公民などの勉強に強い興味をお持ちになったはずです。そこがまずは文学部での勉強の出発点となります。自分は何に一番関心があるのか、何をしているときに一番夢中になれるのかを考えるに当たって、高等学校での勉強は何よりの指針となりますし、そこで得られた基礎学力は一番の武器となります。その上で、文学部を志望される皆さんには次のことをお願いしたいと思います。

 「文」の世界は無限に広く、かつ深いものです。ご自身の知識や興味にのみ限定するのではなく、まずは白紙の状態で私たち教員の語る学問世界に目と耳を働かせて触れてみてください。私たちはそれぞれの専門分野を一生かけて究めている最中です。その楽しさを是非共有していただきたいと思います。

 私たちは、出来合いの学問成果に安住して誰かの見解を無批判に利用するような、安易な学問を認めません。皆さんには、本物の学問とはどういうものなのかを実感していただきたいのです。誰も知らない資料、誰も気づかなかった真実を発掘して見解を公にすることがいかに面白いかを、私たちの授業で感じてください。

 そして、最後に一番大切なことを申します。文学部で楽しんで学んだ方々は、学問を通して、人間とは何か、その一人である自分とはどういう存在なのかという問いに対する答えを自然と見つけることができるはずです。そんなご自身を誇りにしてください。


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