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広島大学大学院人間社会科学研究科「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、2026年9月26日(土)に、定例オンラインセミナー講演会No.204「授業をどう観察し、記録し、解釈するか?―授業研究観を問う―」を開催しました。研究者や大学院生を中心に、45名の皆様にご参加いただきました。
はじめに、司会の杉原満治准教授(広島大学)と澤田百花特命助教(広島大学)より、本セミナーの趣旨が説明されました。本セミナーでは、各地でそれぞれの方法で授業研究にとりくんでいる4名の研究者からの報告をもとに、授業の観察者がどのように記録、解釈を行い、授業研究に取り組んでいるのか、授業研究とはどのような営みなのかを議論していきたいことが示されました。
趣旨説明をする杉原満治准教授
趣旨説明をする澤田百花特命助教
次に、吉田成章准教授(広島大学)より、これまでに報告者の4名が積み重ねてきた共同研究の概要が説明されました。2025年9月3日(水)に行われた定例オンラインセミナー講演会No.182「日本における授業研究の展開とその多様性」以後、4名の研究者の授業研究観の共通点と差異について検討を重ね、同一の授業を観察する場の設定を行い、本セミナーに至った経緯が説明されました。「研究のデザインと授業研究の視角」と題した報告においては、「気になる子」の記録の収集や、「ベタ記録」と呼ばれる教室の出来事を網羅的に文字起こしする授業記録の作成を通じて、研究者としての問いを実践者とともに検討するための場として授業研究を捉えていることが示されました。
概要を説明する吉田成章准教授
次に、タン・シャーリー氏(オランダ・ヴィンデスハイム応用科学大学)より、「同じ授業を見ても,私たちは同じものを見ているのでしょうか」と題した報告がなされました。タン氏は、授業観察の際に、発言や行為、板書の記録とともに、疑問や補足などの自身の考えも記録する方法をとっていることが示され、その場で解釈を確定せず、検討していくための「入口」として授業記録を位置づけました。そして、授業記録と板書とを往還しながら解釈を練り上げ,授業者の意図とは「別の目」を提示することに研究者の役割を見出していることが示されました。
報告をするタン・シャーリー氏
次に、奥村好美氏(京都大学)より、「授業研究で何を見て何を伝えるか」と題した報告がなされました。授業を見る際に、学習内容に困難を抱えている子ども、学校・学級文化に着目し,教師と子どもの顔や手元の両方が見える場所から観察を行うことが説明されました。奥村氏の授業観察とコメント・フィードバックのスタイルは、<「不一致」に着目した考え続けるヒントの提案>と言い表すことができ、自身に「見えていること」の中から学校や教師にとって有意味であろうことを選び取って、フィードバックすることに留意していることが示されました。
報告をする奥村好美氏
次に、鈴木悠太氏(東京科学大学)より、「授業研究の多様性から学ぶ-授業の記録と授業のフィードバック-」と題した報告がなされました。学びの共同体の特徴であるアクション・リサーチを通じて、研究者(アクション・リサーチャー)が実践者と共に協同してより良い現実を作り出すことを目指していることが示されました。鈴木氏の報告においては、「子どもに学ぶ」「子どもの学びの事実に驚く」という表現で、教室の出来事を記録するという立場に立っていることが強調されました。報告においては、ある2名の子どもが手を接触させてリズムを取りながら、教室全体の議論に注意を向けていた授業場面について詳細に語られ、「学び上手」な子どもの姿が教室の学びの概念を拡張する機会となっている可能性を見出したことが説明されました。
報告をする鈴木悠太氏
以上の報告に対し、武島千明研究員(広島大学)より、報告に対してコメントがなされました。4名の報告者に対して、授業研究において最も印象に残った場面は何か、授業研究における自身のふるまいが他者の目にどのように映っていると考えるか、意識的に観察や記録、解釈を行わないことがあるか、といった質問が投げかけられました。
コメントをする武島千明研究員
フロアとの議論では、授業を「見る」側がもつ権力の自覚、授業研究において子どもの参加をどう考えうるか、学校実践と学術研究の結びつきのありようについて意見が交わされました。
質問をする参加者
フロアの様子
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広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI) 事務室

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