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広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」では,カンボジアにおけるJICA技術協力プロジェクト「教員養成大学設立のための基盤構築プロジェクト」に協力しています。昨年11月から12月にかけて,プノンペンとバッタンバンに設立予定の教員養成大学(Teacher Education College, TEC)の学長・副学長候補9名が来日し,EVRIを拠点に本邦研修を行いました。今回は3月5日~7日に丸山恭司先生,3月13日~15日に佐藤万知先生が現地へ渡航し,E-TEC学長・副学長9名と教員養成局職員らを参加者としたTEC管理職のワークショップ研修を開催しました。
3月5日~7日の研修目的は,TEC教員及び学生の評価に関するアウトラインとツールを開発することでした。講義では,アセスメントの目的,高等教育の世界的な潮流,カンボジアにおける文化的背景を考慮したアセスメントの重要性などについて説明しました。現行のカンボジア教育資格基準の枠組みや教員養成校の評価基準,アセアン教員教育基準(案)等を参考資料とし,どのような観点からどのように評価するのが望ましいか,また基準や指標をどのように設定するかをめぐって活発な議論が行われました。
TEC教員の評価基準については,ほぼ議論がまとまり,文書の作成が開始されました。次回のワークショップで草案が発表されることが期待されます。
他方TEC学生の評価基準については,TEC学生が卒業時までに質の高い小中学校の教師として身につけておくべき能力について議論を深め,到達目標・基準を列挙しました。今後は,これらを単位制度や成績スコア制度(A~F)に,あるいはGrade Point Average (GPA) に結び付けていくことが課題です。
3月13日~15日の研修の目的は,TECプログラムモニタリングガイドラインの素案を開発することでした。講義では,「モニタリング」の意味や目的について説明し,どのようなガイドブック項目にするかについて議論を深めつつアウトラインを作成していきました。教育プログラムが確定していない中でプログラムのモニタリングを考えてもらうのは,なかなか困難な作業でした。研修生には,自分たちが新しく任命されるTECの教員に向けて教育プログラムとは何かを説明するという想定のもとでコンセプトを考えてもらいました。全体的にモニタリング項目が細かくなりがちでしたが,プロジェクトのローカルコンサルタントを務めるDr. Chhinh Sithaより様々な参考事例やアドバイスをもらいつつチーム内で議論を積み重ね,共通理解と改善に努めました。今後は本研修での議論を踏まえてガイドラインに加筆・修正を加え,4月末をめどに素案を完成させる予定です。なお,ワークショップの最後には,TEC運営のための活動計画をアップデートし,今後の作業や課題を参加者全員で共有しました。
TECは2018年11月の開学に向けて教員を採用し,プログラムの内容を確定していきます。現時点までは全体像が見えない状態で管理職研修を進めてきましたが,今後は実際にマネージする対象者を意識しながら開学の準備を進めていくことになります。
EVRIでは,引き続き国際共同研究を推進してまいります。活動の詳細は,EVRIのHPをご覧ください。
評価に関するワークショップ
丸山先生による講義
モニタリングに関するワークショップ
佐藤先生による講義
広島大学 教育ヴィジョン研究センター(EVRI)事務室