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広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、2020年2月5日(水)にカリキュラム研究ユニット・IB教育クラスタに関連して、第31回定例セミナー「美術と平和」を開催しました。本セミナーでは、菅村享教授(造形芸術教育学講座)と橋本一貫先生(広島市立基町高等学校・教諭)をお招きしました。菅村教授には「美術はどのように平和と関われるのか」、橋本先生には「高校生が描く原爆の絵の意義」という題目でご講演いただきました。
前半は、菅村教授の「平和とは戦争や争いがないことか?」という問いかけから始まりました。時代の移り変わりとともに、美術とその表現が果たす役割も変貌を遂げてきたことを念頭におき、新聞記事をもとに現代美術作家たちによる平和を訴える二つの作品を比較しました。「平和」というテーマであっても、美術作品を通して受ける印象には、受け手によって賛否両論があり、具体的な言葉に表し得ない事象を美術に現すことの意義と難しさを説きました。
後半は、橋本先生によって市立基町高等学校普通科創造表現コースの取り組み事例を紹介され、被爆体験証言者と同校生徒が共同して、証言者の記憶に残る被爆時の光景を高校生が絵に描き、当時の状況を伝える「原爆の絵」の制作について講話をされました。被爆の実相を絵画として後世に残すこと、そして、絵の制作を通して高校生が被爆者の思いを受け継ぎ「平和」の尊さを考えることの意義を説かれました。
今日まで多くの美術家によって表現されてきた「美術」と「平和」の関連性について、芸術学と教育実践の視点からお話いただきました。講演後には、熱心に質問をされる参加者が多くみられ、「美術」を通した「平和教育」の特色や意義を議論する有意義な機会となりました。
司会の井戸川豊教授(造形芸術教育学講座)
美術と平和の関わりについて講和する菅村享教授
「原爆の絵」制作について説明する橋本一貫先生
参加者の様子
活動の詳細は、こちらをご覧ください。
広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI) 事務室