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広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」第51回定例セミナー「広島叡智学園HiGAの 平和教育への挑戦(1)-HiGAミュージアムをつくろう-」を開催しました

広島⼤学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、2020年10月31日に、第51回定例セミナー 「広島叡智学園HiGAの 平和教育への挑戦(1)-HiGAミュージアムをつくろう-」を開催しました。

広島叡智学園プロジェクトシリーズでは,Peace Makerの育成をねらいとするGlobal Justiceの単元デザインと子どもの学びに焦点化し,ヒロシマ発・HiGA発の平和教育のあり方を提案するものです。第1回は,Global Justiceの最終成果物である「HiGAミュージアムをつくろう」を紹介し,平和学習の新たな可能性をめぐって意見交換しました。

当日は,広島県立広島叡智学園中学校・高等学校(この後,広島叡智学園と記載)のある大崎上島と中継を結びながらセミナーを進めました。まず司会の草原和博より教育ヴィジョン研究センターと広島叡智学園が,研究開発と教員研修に係わる覚書を交わした経緯が解説されました。続いて同校教諭の徳田敬氏より「未来創造科」の教育課程上の位置づけと目標が説明され,さらに草原和博より未来創造科を構成する単元の1つ「Global Justice」のねらいと年間課程が示されました。なお,このGlobal justiceは,覚書に基づいて両組織の教員と大学院生が共同でデザインしたカリキュラムです。このカリキュラムの出口に位置付けられたのが,HiGAミュージアムの作成でした。

セミナーの前半は,同校の生徒10名による,HiGAミュージアムのギャラリートーク風の展示解説で進んでいきました。このミュージアムには,2019年11月から2020年10月までの学習成果が集大成されています。ミュージアムのテーマは「平和×あなた」。1年間に学んだAプロジェクト「日米の子どもでヒロシマの教科書を作ろう」,Bプロジェクト「平和をとらえる概念を身につけよう」,Cプロジェクト「国内外の平和に関する博物館を見学しよう」の成果を視覚化して伝え,来館者との対話を通して「あなたにとっての平和とは何ですか」を問いかけるとともに,生徒全員の「私にとっての平和」の定義を動画でスクリーンに映し出すように構成されていました。生徒からは,異なる多様な見方に接した驚きや,自分には見えていなかった非平和な状態に気づくことができた経験が語られました。

セミナーの後半は,外部の専門家,授業の担当者,そして生徒が一堂に会して,1年間の学びを振り返る場を持ちました。未来創造科を担当した徳田氏は,年間カリキュラムにおける各プロジェクトの意味と配列の妙を語るとともに,Global justiceを核兵器の問題にとどまらない新たな平和教育の試みとして意義づけました。未来創造科に指導者・コーディネータ,そして研究者として参画した金鍾成助教は,日米韓の歴史教科書におけるヒロシマの取扱いの違いを示し,真正な対話を通じてヒロシマの記憶を交わし再構築していく必要性を説きました。平和・文学の研究者の川口隆行教授は,対話の対象とはなっていない他者を発見したり,対話を拒絶する他者をも巻き込んで対話できる関係を築いていく責任とその難しさを指摘しました。

本セミナーは,対話・概念・記憶を視点に,1年間の平和の学びを立場を異にする当事者が語り合う貴重な場となりました。このシリーズは,今後,Global Justiceの成果と課題をプロジェクトを単位に報告して参ります。
 

ギャラリートークの様子

徳田敬先生(広島県立広島叡智学園中学校・高等学校)

コメントの様子(金鍾成助教)

コメントの様子(川口隆行教授)

当日の様子はこちらをご覧ください。
セミナーシリーズについてはこちらをご覧ください。

【問い合わせ先】

広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI) 事務室

E-Mail:evri-info(AT)hiroshima-u.ac.jp
​※(AT)は@に置き換えてください


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