• ホームHome
  • 教育学部
  • 広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」第54回定例オンラインセミナー「ポスト・コロナの学校教育(5)─パンデミックと学校教育─」開催

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」第54回定例オンラインセミナー「ポスト・コロナの学校教育(5)─パンデミックと学校教育─」開催

広島⼤学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、2020年11月21日(土)に、第54回定例セミナー「ポスト・コロナの学校教育(5)─パンデミックと学校教育─」を開催しました。
「ポスト・コロナの学校教育」セミナーシリーズの第5回は、全9回のちょうど折り返し地点でもあり、「コロナと教育」をより広い視点から教育的・教育学的に捉え直すことを意図して、中国四国教育学会第72回大会シンポジウム「学校の日常が突然に引き剥がされた時:戦争、自然災害、パンデミック下の学校教育」との共催で「パンデミックと学校教育」と題して開催されました。EVRIメンバーでもある川口広美准教授は広島大学教育学部K201のシンポジウム会場より、田端健人(宮城教育大学)氏はオンラインにて、大門正克(早稲田大学)氏は音声・資料提供形式にて、話題提供をしていただきました。K201でのシンポジウム会場での参加者は28名、オンラインでの参加者は57名、そしてEVRIセミナーへの参加者は36名で、合計121名の参加者を得ての共催の会となりました。
川口氏はEVRIの取組の成果である『ポストコロナの学校教育―教育者の応答と未来デザイン―』(溪水社、2020年)にも言及しながら、学校休業後、学校再開後、2020年秋という三つのタイミングで行った学校教師たちのインタビューをもとに、コロナが大きく教育を変えたという側面と、変わらなかった側面とを指摘した上で、教師の変わらない「価値観」や教育観に学校の日常が支えられているという事実とともに継続的な教師研究の重要性とその研究を支える教育学研究の意義を提案しました。田端氏は、震災被害を受けた小学校を巡る訴訟問題の経緯を丹念に紐解きながら、学校教育が「闘争モデル」による競争・対立・分断の場に陥ることへ警鐘をならしながら、「合意モデル」を軸とした民主主義の場としての教育の可能性を提案しました。大門氏は、戦時下の学童疎開の実態とある子どもの手記およびその子への教育的介入の可能性と課題を捉えることが、教育を視点とした「考える歴史学」という大学でのオンライン授業の取組において学生自身の歴史観・教育観をゆさぶる教育的・教育学的しかけとなることを提案しました。
3者からの提案後に学会シンポジウムは休憩に入り、EVRIセミナーでは森田愛子教授吉田成章准教授の司会のもと、セミナー参加者からの質疑への応答や3者の提案の振り返りを行いました。Zoomのチャット欄に寄せられた質問や要望などを参加者とともに読み解きながら、3者のそれぞれ異なる角度からの切り口の意味を味わうことができる時間となりました。
休憩後に再開したシンポジウムでは、EVRIメンバーである丸山恭司教授より指定討論がなされました。丸山氏は、事実解明(困難への対峙の実践)・根拠探索(暗黙のうちに前提していたものは何か)・将来展望(学校・教育ができること/すべきこと)・多角的視点(過去から今日を捉える角度)から3者の提案の強調点とそれぞれの関係性をまとめ、コロナによる「問題露呈限界水位の低下」によるこれまで隠れていた問題の顕在化とそれに伴うわれわれ教育関係者の暗黙の前提が良くも悪くも明るみにでてきていることの意義と課題の検討の重要性を提起しました。
シンポジウムでは中坪史典准教授三時眞貴子准教授による司会進行のもと、参加者からの質問と登壇者からの応答がなされました。同時にEVRIセミナーでもチャットを用いて参加者からコメントや質問が多数寄せられ、森田・吉田がそれらのコメントや質問の論点をまとめ、シンポジウム会場にEVRIセミナーからのコメントと質問として声を届けました。その要点は、「教育という営みには多様なステークホルダー(学校教師はもちろん、保護者、地域、行政、福祉関係者、そして子ども自身)が介在している。今回のシンポジウム・セミナーで開かれる『教育的関係』とはどのようなものだと考えるか」でした。この問いは、シンポジウム会場から提起された「学校でしかできないことはあるのか?あるとすれば、それは何か?」という問いとも接続して、まさにパンデミック下で教育という日常が引き剥がされる中で、われわれ教育者は何に対峙し、誰とどのような関係のもとで教育という営みを考えてきた/いるのか、という本セミナーシリーズに通底する問いへと昇華していきます。
シンポジウム会場での三時氏によるまとめに続いて、セミナーでは森田・吉田による振り返り(問いの重要性とその問いに応える角度の重要性、そしてその問いに答えることの難しさとセミナー等を通じたEVRIを介した関わりの重層性の意義)とともに本セミナーを終了しました。
 

中国四国教育学会シンポジウム会場(K201)の様子

EVRI会場からの中継解説

日英翻訳機能を用いて、二会場の同時放映をしました

セミナー参加者と議論、シンポジウム会場に声を届けました

当日の様子はこちらをご覧ください。
セミナーシリーズについてはこちらをご覧ください。
 

【問い合わせ先】

広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI) 事務室

E-Mail:evri-info(AT)hiroshima-u.ac.jp

​※(AT)は@に置き換えてください


up