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【開催報告】【2021.06.19】広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター (EVRI)」は,第81回定例オンラインセミナー「ポストコロナ第3フェーズ第1回「ポスト・コロナの学校教育をリデザインする視点」」を開催しました

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は,2021年6月19日(土)に,第81回定例オンラインセミナー「ポストコロナ第3フェーズ第1回「ポスト・コロナの学校教育をリデザインする視点」」を開催しました。大学院生や学校教員を中心に68名の皆様にご参加いただきました。

「ポストコロナ第3フェーズ」シリーズは,「「コロナ」から学校教育をリデザインする学術知共創の可能性と課題」と称する共同研究プロジェクトの一環で開催される連続セミナーです。今年度は,「コロナと教育」に関する国内外の文献調査や「コロナと教育」に関する大規模アンケート調査等を実施するとともに,教育学分野以外の分野とも連携して学術知を共創し,その成果を6月・9月・12月・3月のセミナーで報告してまいります。

シリーズ第1回となる本セミナーでは,2021年6月に「ポストコロナ第2フェーズ」シリーズの成果として刊行された『「コロナ」から学校教育をリデザインする―公教育としての学校を捉える視点―』(溪水社)(以下『リデザイン』本)を紹介するとともに,同書「第1章第2節コロナ禍の学校教育への影響の調査」の執筆者による話題提供(太田氏・藤原氏)と,同書に対する指定討論(田中氏・西岡氏)を中心に議論が展開されました。

はじめに,草原和博教授より,本セミナーの趣旨が説明されました。草原教授からは,過去1年間のEVRIの取組を振り返り,「第3フェーズ」の「第1回」の位置づけを述べると同時に,一定間隔でセミナーを開催することでポストコロナの学校教育を定点観測していく構想が示されました。さらに,教育関係者の間で,「コロナ」によって学校教育は変わったのか,変わっていないのか,変わる契機となるのかについての認知面での対立が生じているという見立てが提起され,学校教育の動向を継続的に検討していく必要性が提起されました。

趣旨説明をする草原教授

本セミナーシリーズの趣旨

次に,森田愛子教授・太田淳平氏・藤原由佳氏(広島大学・博士課程後期生)から「ポスト・コロナ状況における学校・先生方の困りごと調査」と題して発表が行われました。報告では,2020年4月の緊急アンケートのフォローアップとして実施された2021年4月のアンケートの結果が示されました。はじめに「コロナ禍による困難があるか」の問いに対して「ある」という回答が多かったことが示され,続いて学力面,授業実施面,ICT対応,児童生徒指導等,教員側の業務負担の5つのカテゴリー別に,困難の具体が紹介されました。報告では,以前から報告されてきたマスクによって表情が読み取れないといった困難さが指摘されると一方で,学校行事が従来通りに運営できない困難さが浮かび上がってくるなど,「第3フェーズ」特有の課題も見えてきました。 また,コロナの影響が発生する以前の学校ではなく,「新たな学校になることが望ましいと思う」という問いに対して「あてはまる」という回答数が半数以上あったことが示され,学びの多様性の保障や学校が有する価値観の見直しを含めて,これからの学校教育を議論するための論点が提示されました。

アンケートの結果を発表する藤原氏

アンケートの結果を発表する太田氏

以上の発表を受けて,田中智輝氏(山口大学)から,「「コロナ禍」において見えてきた学校教育の課題とリデザインの視点」と題して指定討論が行われました。田中氏からは,ご自身も関わった著書『学校が「とまった」日―ウィズ・コロナの学びを支える人々の挑戦―』の知見に基づいて,教員とのコミュニケーション頻度や学校での受容感が,休業下でも学びを持続させる原動力になっていたことを指摘し,休校前の状況がその後の状況にも影響している点を強調しました。またこの点は,『リデザイン』本の調査でも,「学力面」と「児童生徒指導等」の関連において類似の結果が示されていると指摘を受けました。さらに,ポスト・コロナの学校教育のリデザインに向けて考えておきたいこととして,①かねてより存在していた課題への着手とコロナ禍以降の新たな取組の検証,②公共空間のリデザインを含んだ公教育のリデザインの試み,③説得のためではない議論を開くためのエビデンスの提示,の3つの論点を提示されました。

学校教育のリデザインに向けて考えておきたいことを述べる田中氏

指定討論における論点

続いて,西岡加名恵氏(京都大学)から,「自身の取組(京大の取組)を『リデザイン』本を読んで振り返る」と題して指定討論が行われました。西岡氏からは,『リデザイン』本の調査結果には,学校の良いところは残したいけれど,より良い学校を目指したいといった教師の願いが読みとれるとの指摘がありました。続いて2006年に創設されたE.FORUM(教育研究開発フォーラム)の活動に言及され,E.FORUMが全国の教員に交流機会を提供すると同時に,政策提言の場ともなってきたことが説明されました。さらに休業中には,子どもの学びを支える「子どもたち応援サイト」を学部生主導で開設するなど,子どもの生活現実に手を伸ばす取組が継続的に実施されてきたことが報告されました。最後に,本セミナーを通して議論したい論点として,EVRIは①どのようなビジョンを目指すのか,②学校教育を主軸としながらもどこまでを視野に入れるのか,③どのようなニーズに応えるのか,の3点を提示されました。

議論に向けた論点を提示する西岡氏

E.FORUM(教育研究開発フォーラム)の活動の紹介

ウェビナーのQ&A機能を活用して行われた質疑応答では,「授業のICT化は学力を向上させるかという点について意見を聞きたい」,「コロナ禍における困難として学力面での困難が上げられたが,ここで言う「学力」とは,学ぶ力としての学力か,試験等で測るような教科等の学力なのか,あるいはどちらも含むものなのか」,「「説明をする授業」の重要性が下がってきている中で,ポストコロナの教員が,教員だからこそ子どもにできることは何か」といった質問が出され,議論は進展しました。最後に司会の木下博義准教授からは,リデザインを問いながらも並行してリデザインが進行している現状認識が示され,同じく司会の丸山恭司教授からは,教師や親,研究者など多様な立場で本課題に応答していく場としてのEVRIセミナーの役割が提起されました。参加者全体では,多様なアクターを巻き込んだ議論を続けていくことの重要性が共有されました。

司会を担当した木下准教授

司会を担当した丸山教授

編集者である吉田准教授

「『コロナ』から学校教育をリデザインする―公教育としての学校を捉える視点―」

今後もEVRIでは,引き続き,学校教育のリデザインを通して,教育そのもののあり方を検討してまいります。

当日の様子はこちらをご覧ください。

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【問い合わせ先】
広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI) 事務室

E-Mail:evri-info(AT)hiroshima-u.ac.jp
​※(AT)は@に置き換えてください


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